米AEIのマッザ研究員が、National Interest誌ウェブサイトに9月18日付で掲載された論説で、南シナ海における不安定さの高まりを示す事柄を列挙して、オバマ政権の不徹底なアジア戦略を批判しています。
すなわち、シリアに目が向けられている間、過去30年続いたアジアにおける平和は少しずつ失われ続けており、特に、最近の南シナ海情勢は、より不安定な未来を示唆している。
中比関係は、明らかに、急速に悪化している。8月に、中国は、フィリピンのアキノ大統領の訪中を断った。今月初めに、フィリピンの国防相は、中国がスカボロー礁に構造物を建てようとしている証拠を示した。これが事実ならば、2002年の南シナ海行動宣言に違反する。
台湾は、実行支配してきたスプラトリー最大の島、Taiping島に、大型の補給船やフリゲート艦に対応する、新しい埠頭を建設する計画を発表している。これは、南シナ海に軍事力を展開する台湾の能力を高めるであろう。中国と台湾は歩調を合わせているわけではないが、他の当事国にはそのような疑念を与えかねない。
ベトナムは、海洋警察の名称をVietnam Coast Guardと改め、より多くの巡視艇を獲得する予定である。ベトナムは、空軍力も向上させようとしており、先月、ロシアとの間で12機のSu-30戦闘機を購入する合意をしている。また、8月初めには、インド政府はベトナムに、インドから防衛装備を購入するために1億ドルの借款を提供した。
さらに、東南アジアの国々の間の問題もある。最近、マレーシアは、中国へのアプローチに関して、南シナ海で領有権を主張する他国との間で一線を画することになった。マレーシアの国防相は、中国による係争領域のパトロールが明白な脅威には当たらない、と示唆した。
ASEANが海洋問題に関して足並みをそろえることが出来ずにいる中で、中国が南シナ海における拘束力のある行動規範の制定を引き伸ばしにすることは、驚くに当たらない。そうした協定は、地域の現状を中国に有利なように変更する戦略にとって妨げとなる。