CNASのアジア太平洋安全保障プログラム副部長、エリー・ラトナーが、7月2日付でForeign Policy誌ウェブサイトに掲載された論説で、ケリー国務長官のアジア軽視の姿勢を厳しく批判しています。
すなわち、ケリー国務長官のアジアへのコミットメント(あるいは、その欠如)を示すには、彼の外遊日程を見れば十分である。7月1日に、ARFの会合のためにブルネイ入りしたが、それに先立つ数週間、長官としてそれぞれ2、3、4回目となる、サウジ、ヨルダン、イスラエル訪問のために、ケリーは、インドネシアとベトナムへの就任後最初の訪問をキャンセルした。そして、当初6月30日の夕方と7月1日の朝に予定されていた、ブルネイにおける、アジアの同盟国およびパートナー国との重要な会合の代わりに、ケリーは、イスラエルにもう一日滞在することにした。このような、米国のアジアにおける国益の無視は、容認できない。
ケリーの国務省における政策課題は、シリア、イラン、アラブ世界によって占められ、アジアは犠牲にされている。2月に就任して以来、ケリーの外国訪問は、一つの例外を除いて、全て欧州か中東を含んでいる。4月の東アジア訪問では、事情通によれば、当初、土曜日の会合で中国の歓心を買い、米国の最も重要な同盟国である日本への滞在は、日曜の午後に押し込める予定であった。
ワシントンとアジアの外交官や政策立案者たちは、オバマ政権一期目の外交上の新機軸、すなわちアジア回帰に、ケリーが真剣に取り組む気がないのではないかと、疑い始めている。12月のケリーの指名以前ですら、アジアには、国務省の新指導部は焦点をアジアから移すのではないかという懸念が広まっていた。
就任以来、ケリーは、アジアを軽く扱い、彼らを安心させるようなことをほとんど何もしていない。
ペンタゴンは、同盟国との絆を強化し、ベトナムやミャンマーのような新しいパートナー国との関係を深め、強固な二国間および多国間関与を維持することで、大統領のアジア政策を忠実に遂行している。 国務省は、経済、外交、文化的側面で、地域への米軍の強力なプレゼンスを補完すべきであるが、ケリーのアジアへの無関心は、アジア回帰のプレイヤーとして、米軍を突出させてしまっている。
その結果、米国は、安全保障問題に関与し過ぎ、中国を刺激し、旗幟を鮮明にしたくないと考えている新しいパートナー国を遠ざけてしまうリスクを冒している。