世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月1日

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 アジアの当局者たちは、ケリーと国務省の幹部に、外交においては、姿を現すことが戦いの半分であり、米国の不在は、短期的にも長期的にも米国の国益に影響を及ぼす、ということを思い起こさせるべきである。

 ケリーが、中東滞在の合間にアジアでの多国間会議に出入りするのではなく、より長くしっかりしたアジア訪問をすることが良い出発点であろう、と論じています。

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 ケリーのアジア軽視に対する、アジア太平洋重視派であれば当然抱く不満を、率直に述べた論説です。ケリーの問題は、アジアを軽視し、かつ、対中宥和的であると見られる点です。論説は、ケリーのアジア軽視を問題視する一方で、オバマはアジア政策を変えていない、という立場のようです。しかし、アジア軽視は、ケリーの個人的問題というより、やはり、第二期オバマ政権自体の問題というべきでしょう。それは、アジア軽視の懸念が出ている時に、アジア太平洋とは縁遠いスーザン・ライスを安全保障担当補佐官に起用したことからも窺えます。

 第二期オバマ政権は、中国との新しい関係の構築を軸にアジア政策を遂行しようとしたものの、6月初めの米中首脳会談でその期待がはずれ、その一方で、ヒラリー・クリントンが敷いた、事実上の対中包囲網形成戦略を継続する意思は無く、方向を見失っているように思われます。

 他面、中東は動いています。イランのロウハニの大統領選出は、オバマ政権にとっては、イランの核開発の問題についての交渉による解決の天与のチャンスと捉えられているでしょうし、米国内で選挙が無くユダヤロビーに配慮しなくて良い今年は、パレスチナ問題を含む対イスラエル交渉を進展させる好機でもあります。また、シリア問題は燃え上がり、スーザン・ライスのような人道介入主義者を擁する第二期政権としては、放置もできないのでしょう。オバマ第二期政権の関心が、アジアよりも、中東に向かうのは自然な流れと理解すべきでしょう。

 米国内で、軍がアジア政策では先行しているというのも、本来の目的が中国の急速な軍事増強と周辺海域への積極的進出に対抗するものであることを考えれば、当然のことであり、日本としても、アジア政策に関する日米提携を考えるにあたっては、まず、米国の軍と国防当局との連携を密接にするのが正攻法かもしれません。

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