2024年4月27日(土)

BBC News

2024年3月28日

タイの下院は27日、同性婚を認める法案を可決した。法案の成立にはなお上院での可決と王室の承認が必要だが、年内には成立する見込み。

成立すれば、タイは東南アジア諸国で初めて、同性婚を認める国となる。

タイは、この地域では珍しく、性的マイノリティー(LGBTQ)カップルに比較的、寛容な国として知られており、その評価がさらに強固になる。

下院・結婚の平等委員会のダヌフォルン・プンナカンタ委員長は法案を提出した際、「これは平等の始まりだ。全ての問題を解決する万能薬ではないが、平等への最初の一歩だ」と述べた。

「この法律は、このコミュニティーの人々に権利を与えるものではなく、権利を返すものだ」

法案は出席議員415人による採決で400票の賛成を得て可決された。婚姻を男女間ではなく、2人の個人間のパートナーシップと定めるほか、LGBTQのカップルに対し、結婚による税控除や相続、パートナーの医療行為に対する同意権といった、男女カップルと同様の権利を与える。

この法律ではまた、結婚している同性カップルも養子をとることができる。しかし下院は、「父親と母親」ではなく「両親」という言葉を使うべきとした委員会の提案は採用しなかった。

タイにはすでに性自認や性的指向による差別を禁止する法律があり、アジアで最もLGBTQに優しい国の一つとみなされている。

しかし、同性カップルが結婚の平等にここまで近づくには、長年にわたる活動が必要だった。

同性婚を合法化しようとした過去の試みは、国民の幅広い支持にもかかわらず失敗に終わった。昨年末の政府の調査では、世論調査で回答者の96.6%が法案に賛成していた。

昨年の総選挙の前には、いくつかの政党が選挙活動の一環として、同性婚の承認を公約にした。昨年9月に就任したセター・タウィーシン首相も支持を表明している。

昨年12月、下院は同性婚を認める四つの法案を可決した。一つはタウィーシン政権が提出したもので、残りは野党が提出したものだった。その後、これらは一つの法案にまとめられ、27日に下院で可決された。

タイではトランスジェンダーのコミュニティーが盛んであるにもかかわらず、議会は性自認の変更を認める提案をこれまで否決してきた経緯があった。

アジアの同性婚法制化の動き

同性間の親密な関係が犯罪とされている国もある東南アジアの中で、タイは際立った存在だ。アジア全体でも「異端児」といえる。

アジアで初めて同性婚を合法化したのは台湾で、2019年のことだった。ネパールは昨年11月、最高裁が同性婚を支持する判決を下してから5カ月後に、初の同性カップルを登録した。

一方、隣国のインドでは昨年10月、最高裁判所が同性婚の合法化を認めない判決を出し、最終的な決定は政府に委ねるとした。政府は、同性カップルの法的権利の拡大について決定する委員会を設置するとしている。

日本でも、LGBTQコミュニティーの人々が結婚の平等のために闘っている。今月14日には札幌高等裁判所が、「法の下の平等」を保障した憲法14条や、婚姻について定めた24条に違反しているとの判断を示した

日本では世論調査でも多くの人が同性婚に賛成しているが、与党・自由民主党内の伝統的な旧勢力からの厳しい反対が、法制化を妨げている。

シンガポールは2022年、同性愛行為を犯罪とする植民地時代の刑法の条項を廃止した。一方で憲法を改正し、男女間の婚姻という定義に裁判所が異議を唱えることができないようにした。

(英語記事 Thailand moves to legalise same-sex marriage

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c0w62perpwko


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