2024年4月20日(土)

BBC News

2024年3月29日

米ニューヨークの連邦地裁は28日、2023年に経営破綻した暗号資産(仮想通貨)の大手交換業者FTXの共同創業者、サム・バンクマン=フリード被告(32)に対し、顧客や投資家をだました詐欺の罪で禁錮25年の判決を言い渡した。また、110億ドル(約1兆6600億円)の資産没収も命じた。かつては仮想通貨界の大物だった同被告の失墜を決定づける判決となった。

かつて業界2位だったFTXは、1日当たり100億ドル規模の仮想通貨を取引していたが、2022年11月に経営破綻。多くのユーザーが資産を引き出せなくなった。上位債権者50人に対する債務は約31億ドル(約4400億円)に上った。

バンクマン=フリード被告をめぐっては、破綻を前に顧客の口座から数十億ドルを盗んでいたことが発覚していた。

同被告は法廷で、「多くの人を本当にかっがりさせた」と理解していると述べた。

「そのことについて申し訳なく思っている。あらゆる段階で起きたことについて申し訳なく思っている」と、判決を前に静かに、はっきりと語った。

ニューヨークの陪審団は昨年、バンクマン=フリード被告が顧客から80億ドル(約1兆2000億円)以上を盗み、その金で不動産を購入したり、政治献金をしたり、ほかの投資に回すなどしていたとして、電信詐欺やマネーロンダリング(資金洗浄)共謀などの罪で有罪評決を出していた。

ルイス・カプラン判事は28日の判決の言い渡しを前に、バンクマン=フリード被告の行動に対して厳しい評価を示した。同被告が裁判での証言の中で、FTXが顧客から預かった金をほかの目的に使っていることに最後の瞬間まで気づかなかったと、うその主張をしていたと、カプラン判事は指摘した。

「彼(バンクマン=フリード被告)はこれが間違っていることだと分かっていた。犯罪行為だと分かっていた。捕まる可能性があるのに非常に悪い賭けに出たことを後悔している。それでも何も認めるつもりがない」と、同判事は述べた。

また、バンクマン=フリード被告は顧客の損失について「悲しみを強く主張」した一方で、「恐ろしい犯罪を犯したことについては反省の言葉が一つもなかった」とした。

判決をめぐる反応

禁錮25年は重い判決だが、同被告が100年以上の禁錮刑を科される可能性があったことを考えると、はるかに短い刑期となった。

ニューヨークの連邦検察官は今月、100年を超えるような長期刑は必要ないとの判断を示した。それでも、バンクマン=フリード被告が法律を「ずうずうしく軽んじて」大規模な詐欺を働いたとして少なくとも40年の禁錮刑を求めた。

バンクマン=フリード被告の弁護団は、5年~6年6カ月程度の軽い量刑を求めていた。

弁護団は、同被告は非暴力の初犯で、メンタルヘルスの問題を抱えていると主張。また、現在、破産裁判所を通して取り組んでいる計画のもと、顧客が相当額を取り戻す用意をしているとした。

同被告の弁護を務めるマーク・ムケイシー弁護士は28日に法廷で、「被害者たちはお金を取り戻したいと思っている」と主張。「(同被告には)一生懸命働き、すべて(の金)を(被害者に)与えられるような刑を言い渡してほしい」と訴えた。

元連邦検事で、現在はロッテンバーグ・リップマン・リッチの弁護士、ミッチェル・エプナー氏は、バンクマン=フリード被告が13年ほどで出所できる可能性のある今回の判決に「非常に驚いた」と述べた。

一方で、ウェスタン・ニューイングランド大学の法学教授で、ホワイトカラー犯罪の専門家、ジェニファー・タウブ氏は適切な量刑だと思うと述べた。

「(被告の)年齢と、抑止力にするという目的との適正なバランスはとれている」

カプラン判事は、バンクマン=フリード被告には暴力の脅威はないと裁判所が判断したことから終身刑は不要としつつ、同被告が将来、犯罪を犯すのを防ぐのに十分な罰を受けなければならないと説明。

「この男性が将来、非常に悪いことをしうるリスクがある。そのリスクは、ささいなものではない。まったくもって、取るに足らないものではない」と、カプラン氏は述べた。

バンクマン=フリード被告の弁護団や両親は、 自閉スペクトラム症に起因する社会的不適応さによって、同被告が刑務所内で弱い立場に置かれてしまうのではないかと懸念を示していた。カプラン判事はこのことも考慮したとした。

FTXの顧客だった男性は、「私は誰に対しても、刑務所に入ることは望んでいないし、25年というのは、刑期としては非常に、とても長い時間だ。だが、暗号資産を失った被害者の補償には何の意味もなさない」と述べた。

被告側は

バンクマン=フリード被告は、この日の判決に対し、目に見える反応はほとんど示さなかった。

裁判のほぼすべてを傍聴した被告の両親は声明で、「私たちは胸が張り裂ける思いだ。息子のために闘い続ける」と述べた。

バンクマン=フリード被告は、ずさんな管理という過ちがあったことは認めたが、自分は誠実に行動していたと主張した。

同被告は判決前、FTXが破綻した時点で、同社には顧客に返済するための保有資産があったとの主張を曲げず、顧客が苦しむことになった理由が「適切に伝えられているとは思わない」と述べた。

顧客については、自分自身を含め「数えきれないほど多くの人に失望させられた」とし、「見るに堪えないものだった」とした。

顧客だけでなく、元幹部で親しい友人だったキャロライン・エリソン氏とギャリー・ワン氏を含む元従業員らをがっかりさせたことも申し訳なく思っていると、バンクマン=フリード被告は述べた。エリソン氏とワン氏は裁判で同被告に不利な証言をした。

「彼らはみな、本当に美しいものを築き上げ、それに身を投じていた。そのすべてを私が投げ捨ててしまった」と、被告は付け加えた。「そのことが毎日、私につきまとっている」。

バンクマン=フリード被告はかつて、アメリカの伝説的な投資家ウォーレン・バフェット氏と比べられることもあった。2022年10月時点の資産総額は150億ドルを超えていた。

米政界では大口献金者としても有名で、パンデミック防止対策や暗号資産規制の改善を支援しているとされた。

(英語記事 Fallen 'Crypto King' Sam Bankman-Fried gets 25 years for fraud

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c970rpzzvq8o


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