2024年4月27日(土)

BBC News

2024年3月29日

中国商務省は28日、オーストラリア産ワインに対する高い関税を29日から撤廃すると発表した。両国の関係改善を示す、新たな重要な動きとなった。

中国政府は2020年、オーストラリア産ワインに税率200%超の関税を課し、豪経済にとって打撃となっていた。

オーストラリアとの政治的対立を受け、中国政府は同年に、オーストラリア産の石炭や大麦、木材、ロブスターに対する関税や輸入制限措置も導入した。

しかし、2022年5月にアンソニー・アルバニージー新政権が誕生して以降、中豪関係は改善に向かっている。

アルバニージー首相は28日、中国商務省の発表を歓迎し、自身の政権はこれまでにも、ほかの貿易障壁も削減してきたと述べた。

中国は昨年8月、オーストラリア産大麦に課していた関税を撤廃している。大麦は中国の貿易障壁の対象となっていた重要品目の一つ。

アルバニージー氏は声明で、「こうした結果は、アルバニージー率いる労働党政権の冷静かつ一貫したアプローチを裏付けるものであり、オーストラリア産大麦に対する関税の撤廃という成功に続くものだ」と述べた。

アルバニージー氏は牛肉やロブスターなどの関税撤廃についても中国に働きかけているとした。

豪産ワインの最大市場

中国はかつて、オーストラリアのワインメーカーにとって最も収益性の高い市場だった。ワインの輸出先の3分の1近くを中国が占めていた。

オーストラリア産ワインの業界代表者によると、同業界は中国が関税を課した後の1年間で21億豪ドル(約2000億円)もの損失を被ったという。ほかの市場に軸足を移したものの、ワインメーカーは中国以外の国に大量のワインを販売するのに苦戦し、近年では供給過剰状態になっていた。

中国のワイン市場の「変化」が理由と

こうした状況で、中国商務省は28日、「中国における関連ワインの市場状況の変化」を理由に、豪産ボトルワインへの関税を29日から撤廃すると発表した。

中国政府はこれまで、豪産ワインに対する関税について、経済的威圧だとの指摘を否定し、反ダンピング(不当廉売)および反補助金措置だと正当化していた。

そのため、オーストラリアは世界貿易機関(WTO)に対し、このような罰則行為の有効性について提訴していた。ただ、両国関係が改善しているとして昨年には提訴を取り下げた。豪政府は28日、提訴に基づく手続きが停止されていることを認めた。

「報復的な経済的威圧」

中国政府は2020年後半、貿易や生産上の問題を理由に、10以上のオーストラリア製品などに一連の関税や制限を課した。

豪政府はこれを、同国の政治的措置に対する、報復的な経済的威圧キャンペーンだと受け止めた。豪政府は西側諸国として初めて、中国・華為技術(ファーウェイ)による第5世代移動通信システム(5G)構築を禁止したり、新型コロナウイルスの起源に関する調査を要求したりするなどしていた。

特定の産業が打撃(約200億豪ドル相当の損失と推定)を受けたにもかかわらず、中豪の貿易関係は一貫した水準を維持しており、貿易額は12%増加している。

3170億豪ドル相当の貿易関係の大部分は、中国が依存する、鉄鉱石などのオーストラリア産原料が支えている。

(英語記事 China removes tariffs on Australian wine as relations improve

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c28024lr24jo


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