2013年11月2日、第1回「日露外務・防衛閣僚協議(2プラス2)の初会合が東京で開かれた。これは、同年4月の安倍首相による10年ぶりの公式訪露の際に合意されたものである。「2プラス2」の実施国は、日本にとっては米国、豪州に続いてロシアが3例目となり、ロシアにとってはフランス、米国、イタリア、英国に次いでアジア諸国では初めてである。平和条約が締結されていない日露間において、安全保障問題に関して4閣僚が定期協議を行うメカニズムが誕生したことは意義深い。
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
いまなぜ「日露2プラス2」なのか
2010年11月に当時のメドヴェージェフ大統領が国後島を訪問し、両国の政治関係は冷戦終結後最悪の状態に陥ったと言われたが、わずか3年後に「日露2プラス2」が実現するとは誰が予測できたであろうか。これは、日露関係そのものが変化したというよりも、日露関係をとりまく環境が変化したことによる。1つは、2012年に第二次プーチン政権と第二次安倍政権が発足し、日露双方に安定した政治状況が生まれたという国内要因であり、もう1つは、ミサイル発射や核実験を繰り返す北朝鮮や海洋進出を進める中国など、日露関係をとりまくアジア太平洋地域の安全保障環境が変化しつつあるという国際要因である。
「日露2プラス2」が果たすべき3つの役割
「日露2プラス2」が果たすべき役割は、以下の3つに集約されるであろう。
第1は、両国間の信頼醸成の促進である。2012年10月に内閣府が実施した外交に関する世論調査では、ロシアに親しみを感じないと答えた割合が7割を超えている。他方、ロシアの世論基金が2013年8月に実施した「ロシアの領土保全にとっての脅威」を尋ねる世論調査結果によると、中国・極東における中国人移民(15%)が最も多く、外国からの移民(9%)、ロシアの資源を狙う諸国(8%)、領土問題を抱える日本(7%)、米国(6%)、欧州(4%)と続いている。冷戦時代から引きずる安全保障上の相互不信が、日露関係の発展を大きく阻害していると言えよう。