4月の日露首脳会談に先駆けるかたちで、3月に行われた中露首脳会談。習近平国家主席は初外遊先としてロシアを選び、プーチンも大統領に返り咲いた後、早い段階で中国を訪問した。蜜月にも見える両国関係だが、ロシアは大いに中国を警戒する。日本がロシアと付き合うのに必要な視点、戦略とは何か。
「中露関係はかつてないほどの高水準」―。3月下旬、習近平国家主席はロシアを初外遊先に選び、プーチン大統領と会談した。冒頭のフレーズは首脳会談後に公表された共同声明にて繰り返されたもので、中露の蜜月ぶりが対外的に演出された。
日本の報道はそのプロパガンダを鵜呑みにするものが多いが、中露国境が最終画定され、大規模な合同軍事演習が開始された2005年頃をピークとして、中露協調は頭打ちの状態にある。むしろ、最近では、中露戦略的パートナーシップの内実は複雑化しつつある。
中露関係は離婚なき便宜的結婚
中露関係は、ロシアから中国への資源や武器の供与という実利協力と、対米牽制という戦略協調という、2つの要因から成り立っている。しかし、いずれも一筋縄ではない。
資源協力に関しては、今回の首脳会談でも、天然ガスの輸出価格をめぐって両者とも妥協せず、十余年に及ぶ価格交渉はまとまらなかった。 最新鋭戦闘機スホイ35などの十数年ぶりの大型武器供与も、実は細部調整は難航している。中国によるロシア製兵器のコピー問題や、引き渡す戦闘機の仕様などが固まっていないためだ。それでも、中国側は中露間の軍事協力を派手に宣伝するものの、ロシア側の姿勢は抑制的である。むしろ、クローズアップされたくないのが本音であろう。ここに中露関係の本質が見て取れる。
他方、対米牽制というモチベーションも、中露間の温度差は開きつつある。尖閣問題で対立する日本が対米関係を強化する動きを牽制するために、中国はロシアとの戦略的連携を利用しようとしている。