世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年11月25日

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 したがって、今回の事件を口実として、従来国際世論の手前遠慮していたウイグル族統制強化策の一部を、もう一歩進める意図であることは、事件発生当初以来の中国の反応からも明白でした。

 ただ、漢化政策は長期的なものであり、一張一弛を繰り返しつつ進めると予想され、今回の事件を利用しての漢化政策の強化は、国際世論などを考慮して、一歩を進めるに限られたものになるでしょう。

 また、ウイグル問題については、他の少数民族問題とは違う面があります。それは新疆の地政学的位置です。新疆は、中央アジアに向かう中国の門戸であり、かつて日本がアジア大陸本土に進出したころの満州に当たる戦略的地位にあります。中国としては、戦略的目的から、その開発、特に漢民族中心の開発を強化したい立場にあります。

 逆に、新疆におけるウイグル族の処遇の仕方によっては、イスラム諸国の反発を招き、イスラム諸国との外交関係に影響あるのみならず、過激派の流入の恐れもあります。

 もう一つ国際政治上の新たな要素があるとすれば、それは米国が、中国の少数民族抑圧に対する批判を抑えていることです。従来、民主党は強力な人権擁護派でしたが、第一期オバマ政権成立後、2009年の最初のオバマの訪中を控えて、その夏のウイグル弾圧事件について、当時まだ多数派だった民主党のペロシ下院議長は中国批判を抑制し、同年11月のオバマ訪中においても、人権問題が従前に比べて軽く扱われました。今年6月の米中首脳会談でも人権問題が主要議題の一つとなったという話は聞きません。米国が人権原理主義に陥るのも困りますが、人権に無頓着というのも決して歓迎すべからざることです。

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