2024年5月22日(水)

BBC News

2024年4月30日

米国務省は29日、イスラエル国防軍(IDF)の5部隊について、個別に人権侵害行為があったことを確認したと発表した。ただし、今後もこれらの部隊への軍事支援を継続するとしている。

いずれの事案も、イスラエルとイスラム組織ハマスの現在の戦争より前に、パレスチナ自治区ガザ地区以外の場所で発生したという。

イスラエルはこのうち4部隊について是正措置を取り、残る1部隊についても「追加情報」を提供したと、米国務省は説明した。これにより、全部隊が引き続き、アメリカの軍事支援を受ける条件を満たすという。

アメリカはイスラエルにとって最大の軍事支援国で、年間38億ドル(約6000億円)相当の兵器や防衛システムを提供している。

アメリカがイスラエルの部隊に対してこうした決定をするのは初めて。

米国務省のヴェダント・パテル報道官は、五つの治安部隊が重大な人権侵害を行ったと述べた。

「うち4部隊が、これらの違反に対して我々がパートナー国に期待する是正措置を効果的に行った」

「残る1部隊については、イスラエル政府との審議・協議が続いている。イスラエルは、同部隊に関する追加情報を提出している」

これらの部隊をめぐっては、説明責任があったかを明言できないにもかかわらず、アメリカは政治的圧力に屈して軍事支援を継続したとの指摘が出ている。同省はそうした見方を否定した。

「我々は手続きに沿って協議を進めており、その手続きが完了した際に、この部隊ついての最終判断を下す」と、パテル氏は述べた。

問題となっている事案は、ここ数年の間に、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区やエルサレムで起きたと考えられている。

レイヒー法とは

アメリカの「レイヒー法」は、重大な人権侵害に関与しているとされる外国の軍隊に対してアメリカの資金援助や訓練が提供されるのを禁止している。1997年にパトリック・レイヒー上院議員(当時、民主党)が提唱した。

アメリカ政府は、拷問や超法規的殺人、強制失踪、レイプといった人権侵害行為を、同法の対象とするとしている。

一方で、こうした違反が見つかった場合でも、その国の政府によって適切な措置が取られ、正義が追求されていると米国務省が判断すれば、軍事援助の停止から除外される。

米国務省は今回、イスラエルが5部隊のうち4部隊についてこの「是正措置」を行ったと説明した。しかし、事案そのものや是正措置の内容、関与した部隊、是正措置が効果的なのかを示す証拠などについては、詳細を明らかにしなかった。

五つ目の部隊の処遇は

アメリカ政府は、間もなく五つ目の部隊への軍事支援を打ち切ると発表するとみられているが、イスラエルから新たな情報が入ったことで、決定を遅らせたとしている。

この部隊は、1999年に設立された特殊部隊「ネツァ・イェフダ大隊」だとされている。同大隊は、超正統派のユダヤ教徒の男性のみで編成されている。

イスラエル政府は先に、2022年1月にパレスチナ系アメリカ人のオマル・アサド氏(80)が、同地区での捜索中にイスラエル兵に縛られて猿ぐつわをされ、その後に死亡した事案を調査した。

アメリカは当時、この件に関して「徹底的な犯罪捜査と完全な説明責任」を果たすよう求めた。

IDFは後に、アサド氏の死を遺憾に思うとし、ネツァ・イェフダ大隊の司令官を「けん責処分」とするとした。また、兵士2人については2年間、上級職に就くことが禁止されるが起訴はされないと付け加えた。

アントニー・ブリンケン米国務長官は今年4月19日、アメリカが初めてレイヒー法に基づきイスラエル軍部隊に制裁を科す予定だとの報道について質問された際、「私はすでに決めている。その内容は、数日中にわかるはずだ」と述べていた。

一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は21日、IDFに対するいかなる制裁も拒否すると発言。「私は全力で闘う」と述べた。ヨアヴ・ガラント国防相と、戦時内閣に参加しているベニー・ガンツ前国防相も、ブリンケン氏と電話で協議した。

米国務省のパテル報道官は29日、BBCから国務省が五つ目の部隊への軍事援助打ち切りを遅らせたのか、あるいは立場を軟化させたのかと質問されると、イスラエル政府との協議が完了した時点で決定すると答えた。

(英語記事 US says Israeli army units violated human rights

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c87z3e0nn54o


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