2024年12月15日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年5月20日

 ドイツのショルツ首相の訪中について、2024年4月17日付の独FAZ 紙は「友好的だが難渋」と題する解説記事で、雰囲気は友好的であったが成果は乏しかったと報じている。

会談したドイツのショルツ首相(右)と中国の習近平国家主席。その成果は?(picture alliance/アフロ)

 ショルツ首相は重慶と上海を訪問した後、4月 16 日に北京入りした。習近平主席との会談は合計で3時間 20 分に及んだ。ショルツは全体会合の冒頭からロシアのウクライナ侵攻を取り上げた。

 ドイツは国際会議での前進を望んでいて、次回はスイスでの会合が予定されているが、それへの中国の出席は極めて疑問である。習近平はショルツに対してウクライナ問題を真剣に捉えていると示唆したが、実質的には一歩も譲らず、中国の発表では、習近平は全ての当事者が同等に参加し、ロシアとウクライナの双方に受け入れられる国際会議は支持すると発言した。プーチンがスイスでの会議へのロシアの出席の用意を示していないため、中国の出席もありえない。

 両者はイランのイスラエルへの攻撃も取り上げ、習近平は紛争のエスカレーションに警告したとされるが、大きなテーマとはならなかった。習近平は現在、対外関係の安定を望んでおり、これは一つには中国の現在の経済情勢が理由であるが、もう一つは、中国は米国大統領選挙の結果を待っているからである。

 中国側が重視したのは経済関係で、習近平は「両国は長期的、戦略的観点から関係を拡大すべきである」と発言した。この発言は、最も緊急の問題である中国の過剰生産能力を念頭に置いたものであるが、中国側は、不公平な国家補助金との批判は根拠がなく誤った情報であるとし、ショルツに対して何らの譲歩も示さなかった。


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