2024年7月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年5月20日

 台湾海峡や南・東シナ海にも全く言及がない。ショルツ政権は昨年7月に「中国戦略」を打ち出し、メルケル政権の中国政策の軌道修正に踏み込んだかの印象が広まったが、イメージ先行で内容が追い付いていないとの疑念が払拭できない。

中国が歩み寄りを見せなかった背景

 折しもショルツ訪中の直後、中国のためにスパイ活動を行った容疑で、まずは3人のドイツ人、次いで「ドイツのための選択肢(AfD)」欧州議会議員(6月の欧州議会選挙では同党の筆頭候補)のスタッフ(独国籍を有する中国人)が拘束された。さらに、この AfD 議員本人については中国からの資金を受け取っていたとの疑惑も生じている。このような事案が相次ぐ中で、果たしてショルツが今回の訪中におけるような宥和的と受け取られる対中姿勢を維持するのかが注目される。

 中国側が今回、全くと言ってよいほどドイツに歩み寄りを見せなかったのは、上掲解説記事にあるように、米国大統領選挙までは待ちの姿勢で臨むという考慮があったのかもしれないし、また、ドイツは突き放しても経済中心に擦り寄ってくると見切ったのかもしれない。ショルツは来年の連邦議会選挙までの一期限りの首相で終わるかもしれないとの計算が働いた可能性もある。

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