2024年12月13日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年5月15日

 2024年4月22日付の英フィナンシャル・タイムズ紙は、サム・ジョーンズ同紙ベルリン特派員の記事を掲載し、ドイツ検察当局が、シュルツ首相が国賓訪中から帰国した数日後にスパイ容疑でドイツ人3人が逮捕されたことが公表され、中国諜報機関の活動は強化されているので、ドイツ治安当局は、大企業の経営者に注意喚起している旨述べている。

(Dmitry Nogaev/gettyimages)

 ドイツ連邦検察当局は、ドイツ人夫婦らが共謀し、中国情報当局の命令でレーザーを含む機微な軍事技術を欧州から違法に持ち出し逮捕されたと4月22日に公表した。夫妻は、中国当局の連絡員とともに逮捕され、これはシュルツ首相が中国への国賓訪問から帰国して数日後に行われた。

 首相の中国訪問の中心課題は貿易と開かれた市場であった。中国はドイツにとって最大の貿易相手国である。

 フェーザー内相は、「ドイツの防諜は大成功」と称賛しつつも、中国のスパイ行為が西側企業にもたらす「大いなる危険」に警告を発した。ドイツの国内情報庁(BfV)のハルデンヴァング長官は、大企業の経営者達と会合を開き、中国の裏工作に注意を呼び掛けている。

 昨年7月、彼は、「ロシアが嵐なら、中国は気候変動だ」と語った。この比喩は最近、他の西側の長官らも使っている。

 検察官らによると、逮捕された3人組がどれくらいの期間、中国情報機関のために働いていたかは不明だが、容疑者たちの自宅や職場を、さらなる証拠を求めて捜索している。夫妻はデュッセルドルフで会社を経営し、ドイツの科学技術界に機密性の高い人脈を持っていた。


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