2024年5月20日(月)

BBC News

2024年5月9日

アメリカのジョー・バイデン大統領は8日放送の米CNNによるインタビューで、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区ラファで大規模な地上作戦を開始した場合、同国への武器供与の一部を停止すると警告した。

バイデン氏はインタビューで、「もしイスラエルがラファに侵攻すれば、ラファへの対応で過去に使用されてきた武器の供給はしない」、「私たちは武器や砲弾を提供するつもりはない」などと発言。

同時に、「イスラエルの安全を確保し続ける」とも述べた。

アメリカは、イスラエルによる大規模なラファ侵攻に強く反対している。しかしイスラエルは、これを実行する構えを見せている。

ガザ最南部の都市ラファは、イスラム組織ハマスの最後の主要拠点とされる。ガザ各地からの避難者で人口が膨れ上がっており、米当局はイスラエルがラファで作戦を実施すれば、多数の民間人犠牲者が出ると警告している。

一線は「まだ」超えていない

バイデン氏はCNNのインタビューで、ラファの現状について、イスラエルが地上作戦を開始したとはみていないとし、次のように述べた。

「(イスラエル軍は)人口密集地には入っていない。境界上での行動だ」

「だが実際に人口密集地に入れば、私たちの支持は得られないと、(イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と)戦争内閣にはっきり伝えた」

バイデン氏はまた、イスラエルによるガザ住民の殺害にアメリカの武器が使われてきたと認めた。

イスラエルについて「一線」を越えたと思うかと問われると、「まだだ」と答えた。

バイデン氏の今回の発言は、ラファへの地上侵攻に関するこれまでの同氏の警告で最も強い。イスラエルへの武器輸出の停止に言及したのは初めて。

アメリカはすでに、イスラエルへの数千発の爆弾の輸送を延期している。今後の提供についても見直すとしている。

イスラエルはこの動きに失望を示した。同国軍は、両国の意見の相違は「非公開の場で」解決されるとしている。

アメリカが現在、輸送を止めている武器は、将来の供与分。そのため、イスラエルが直ちに影響を受ける可能性は低い。それでも、イスラエルの空爆のペースを考えれば、近いうちに同国の攻撃に影響が出るとみられる。

ガザでは民間人の死者が増え続け、人道状況も悪化している。そうしたなかバイデン氏に対しては、イスラエル軍の作戦を抑制するよう、与党・民主党や国民の一部から圧力が高まっている。

ラファで戦闘

イスラエル軍は8日、ラファ東部で「正確な」対テロ作戦を実施し、ハマス戦闘員らを殺害したと発表した。ハマスも同日、戦闘があったと明らかにした。

ラファ周辺では戦闘と爆撃が続いている。

こうしたなかイスラエルは同日、ケレム・シャローム検問所を、支援物資搬入のため再開したと発表した。同検問所はガザ住民の支援にとって重要なルートの一部だが、5日にロケット攻撃があって以降、閉鎖されていた。

イスラエル軍は同検問所にトラックが到着したと発表した。だが国連機関は、同検問所からガザへはまだ物資が運び込まれていないとした。

ガザ南部の主要検問所としては他にラファ検問所があるが、イスラエル軍は7日、これを掌握したと発表した

一方、停戦と人質解放をめぐる交渉は、エジプト・カイロで再開された。仲介国の一つ、アメリカは、ハマスの修正案が突破口になるとの見方を示した。

昨年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲では、約1200人が殺害され、252人が人質となった。イスラエルは直後にガザへの報復攻撃を開始した。

ハマスが運営するガザ保健当局は、ガザでこれまでに3万4780人以上が殺されたとしている。

同11月には1週間の停戦が実現し、この間にイスラエルの刑務所にいたパレスチナ人囚人約240人と引き換えに、ハマスの人質となっていた105人が解放された。

イスラエルによると、ガザでは依然128人の人質の行方がわかっておらず、そのうち少なくとも36人は死亡したと推定されている。

(英語記事 Israel-Gaza war: Biden to halt some arms supplies if Israel invades RafahBattles in east Rafah as Israel says key Kerem Shalom aid crossing has reopened

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/ckmj7z3jxlgo


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