2024年5月22日(水)

BBC News

2024年5月10日

米アップルがiPadの広告に、楽器や本などがプレス機で押しつぶされる映像を使ったところ、批判の声が沸き起こった。これを受け、同社は9日、謝罪した。

問題となった映像は、最新のiPadにいかに創造性が凝縮されているかを示すのが狙いだったとされる。

しかし、英俳優ヒュー・グラント氏、米俳優ジャスティン・ベイトマン氏など有名人から、広告での破壊行為を嫌悪する反応が相次いだ。

アップルは、マーケティング誌「アド・エイジ」に声明を発表。今回の広告はクリエイターらを力づけ、たたえることを意図したが、その目的を果たさなかったとした。

同社のマーケティング・コミュニケーション担当のトア・ミレン副社長は、「私たちの目標は、iPadを通じてユーザーが自らを表現し、アイデアを実現する無数の方法をたたえることだ。このビデオは的外れで、申し訳なく思っている」と声明でわびた。

最新のiPadをめぐっては、同社のティム・クック社長がX(旧ツイッター)に、「これが創造するために使われるあらゆるものを想像してほしい」と投稿。これに対しては、「空気を読めていない」といった批判が出ている。

さまざまな批判

今回の広告は、テレビを見る、音楽を聴く、ゲームをするなど、最新のiPadでできることを示そうとしたものだった。同時に、非常に薄型であることも強調している。

楽器がプレス機で押しつぶされるという映像は、別のものが10年近く前から出回っている。今回の広告はそのテーマを取り入れた。

ただアップルは、自らの評判まで押しつぶしてしまった。今回の広告に対しては、テクノロジーが創造性を促進するより阻害していることを示している、との批判が噴き出している。

俳優のグラント氏は、「人類の経験の破壊。シリコンヴァレーより」とXに投稿。映画業界における人工知能(AI)の使用を強く批判しているベイトマン氏は、「芸術を押しつぶしている」とコメントした

英ソングライターのクリスピン・ハント氏は、楽器を破壊する行為は本を燃やす焚書(ふんしょ)を連想させるとした。

https://twitter.com/crispinhunt/status/1788480353805410790?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1788480353805410790%7Ctwgr%5E81604e92cfe1f657ef264ff619fe7a84978128c6%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.bbc.com%2Fnews%2Farticles%2Fcld0rxlqgggo

クック氏のXへの投稿には、「極めて不快」「アップル製品を買うのが恥ずかしくなる」など、特に否定的なコメントが寄せられている。

批判的な意見は日本からのものが目立っており、「敬意に欠ける」との投稿もあった。日本の民話では道具には「付喪神(つくもがみ)」が宿るとされるており、それが背景にあるとの指摘もある。

「道具を壊すという行為は、私たち日本人にとっては傲慢(ごうまん)であり不快だ」と投稿する人や、ミュージシャンらは「命よりも」楽器を大切にしているとコメントする人もいた。

https://twitter.com/takasugi_mbsjk/status/1787968498549014661?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1787968498549014661%7Ctwgr%5E81604e92cfe1f657ef264ff619fe7a84978128c6%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.bbc.com%2Fnews%2Farticles%2Fcld0rxlqgggo

今回の映像については、アップルの1984年の最も有名な広告と比較して論じる人もいる。ジョージ・オーウェルの小説「1984」を意識したその広告では、ディストピア的な未来に反撃するアスリートが描かれている。

投稿の一つは、今回の広告は1984年のものとは「ほぼまったく正反対」だと指摘。別の投稿は、アップルが「1984年に反旗を翻した、顔のない文化破壊勢力になってしまった」ことを、今回の広告は示しているとした。

(英語記事 Apple apologises after piano crushing ad backlash

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4n1394gv8qo


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