2024年6月16日(日)

BBC News

2024年5月22日

ウクライナ侵攻におけるロシア兵の死者数の多さに懸念を示し、昨年解任されたロシア第58軍の元司令官イワン・ポポフ少将(49)が、詐欺容疑で拘束された。ロシア国営メディアが21日に報じた。

ロシア国営メディアによると、ポポフ少将は2カ月間勾留されるという。

ポポフ少将の弁護人は、少将はすべての疑惑を否定していると述べたと、タス通信は伝えている。

ポポフ少将は昨年、ロシア兵が大勢死傷しており、砲兵支援も不足しているなどと公に主張。その後、第58軍司令官を解任された

ロシア国防省はこの問題についてコメントしていない。

ロシアのタス通信とRIAノーボスチ通信は21日、複数情報筋の話として、ポポフ少将には大規模詐欺を行った疑いがあり、この事件は第235駐屯地の軍事裁判所で扱われるだろうと報じた。

また、ポポフ氏の勾留はモスクワの裁判所の17日の決定を受けた「予防措置」だと付け加えた。

これ以上の詳細については明らかにしていない。

ポポフ氏は昨年7月、ウクライナにおけるロシア軍の問題について公に不満を述べた後に解任された。

広く共有された音声メッセージの中で、同氏は「黙って臆病者になるか、現実を伝えるか、どちらかをしなくてはならなかった」と述べていた。

また、「私には、皆さんの名において、死んでいった戦友の名において、うそをつく権利などない。だから、現存するすべての問題について概要を説明した」とも話していた。

この音声メッセージによると、ポポフ氏はロシア軍の死傷率の高さや、ウクライナ軍の砲撃に対抗する砲撃システムの欠如、軍事情報の不足などについて、疑問の声を上げたという。

ポポフ氏はまた、自分の上官たちが自分の解任を要求し、セルゲイ・ショイグ国防相(当時)が承認したのだと述べた。自分の解任を求めた上官たちを、ポポフ氏は裏切り者と呼んだ。

ウラジーミル・プーチン大統領は12日、長年の盟友だったショイグ国防相を交代させる人事案を上院に提出した。後任には軍事経験がほとんどない経済学者のアンドレイ・ベロウソフ氏が指名された。

複数のアナリストは、クレムリンの優先事項に変化があったことを映し出しているとみている。また、ロシア当局が現在ウクライナでの戦争につぎ込んでいる巨額の資金や、汚職に悩まされていると広く見られているロシア軍の効率性を高める必要があることの表れだとしている。

ここ数カ月、ショイグ氏の立場が弱まっているとうわさされていた。同氏はロシア安全保障会議の書記に任命されたが、これは降格人事だと一部のロシアウォッチャーは見ている。

4月にはティムール・イワノフ国防次官が汚職容疑で、先週にはユーリー・クズネツォフ国防省人事総局長が収賄容疑で逮捕されている。

直近の報道によると、ベロウソフ氏は国防省で独自のチームを結成し、ショイグ氏の幹部を排除しようとしているという。

(英語記事 Ex-Russian army commander detained over fraud charge

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cndd1yznl10o


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