11月11日付仏ル・モンド紙にて、カウフマン同紙記者は、中国企業の欧米進出に関して、具体例を挙げながら、そのやり方に警笛を鳴らしています。
すなわち、6月末、ロサンゼルス市交通公社は、中国の電気自動車メーカーBYDから25台の炭素排出ゼロのバスを買う3000万ドル(約30億円)の契約に合意した。中国側は、米国第2の都市に無公害のバスを売りながら、その過程で、環境補助金を受け取れる。米国側は、カリフォルニア州ランカスターにBYDが開設したばかりの工場で、バスを組み立てることを約束させた。米国人雇用を創出することで、ロサンゼルス市交通公社が従わなければならない「Buy American」条項も遵守できる。
もちろんこの取引を快く思わない者もいる。まず、BYDのライバルである米国企業ProTerraだが、株主にWarren Buffett氏が名を連ねるに係らず、中国企業に利益が行ってしまったことに怒っている。その他、ロングビーチの隣町が、ロスより3カ月前に、やはりBYDとバス10台の契約をしたが、その保証に疑義が持たれるようになった。7月には、カナダでも疑念が生じた。BYDとの話では、北米向けの組立工場はカナダのWindsorに建設されると思っていたら、カリフォルニアになったからだ。
にもかかわらず、7月16日、BYDは、アムステルダム・スキポール空港用にバス35台の大契約を獲得した。
これは、今までとは逆のグローバリゼーションである。最早、公害を出す自動車を欧米が中国に売るのではなく、中国が欧米にクリーンなバスを売るのである。
5カ月経って、厄介な事が起こった。技術的問題とは別に、10月10日、BYDは、カリフォルニアより8万ドル(約800万円)の罰金を科せられ、更に給与の遅延に対し2万ドル(約200万円)の支払いを命じられた。ランカスターの工場は無事開設されたが、まず雇用されたのは、中国から来た労働者であり、彼らは寮で寝泊まりし、中国の労働時間と賃金に従った。BYD-USAの副社長は、彼らは工場建設と米国人スタッフの教育に来ただけであると弁明した。
一方、中国の国内市場は、西側の経営者達にとって、益々厳しい環境になってきている。多くの錚々たる企業が、今年、中国国内で、抗議や訴訟の対象として狙われた。Apple、GlaxoSmithKline、AstraZeneca、Danone、Meiji、Starbucks等がそうである。一部の企業は、結果として、収益を減らしている。
中国に投資した企業の経営者達は、中国の新政権の真の意図を探るため、三中全会の結果を注視している。