2024年11月24日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年12月19日

 が、並行して、中国企業や中国マネーは、外国で活動して、得点を稼いでいる。この傾向は、最近の具体例にも現れている。中国のインターネット大手のTencentやAlibabaは、シリコンバレーの新規事業に、何億ドルもの投資を行なっている。そして、10月15日、欧州第1の金融市場であるロンドンは、中国の金融界に門戸を開放した。金融街シティでの中国の銀行の活動を認めることで、ロンドンは、人民元の取引における第1のオフショア市場としての優先的地位を得る。

 その数日後、またしても英国が、1995年来初めての原発建設に中国と共同出資することを決めた。フランスのEDFは技術を供与し、中国のCGNは資本の35%を請け負う。中国にとって、この取引は非常に重要なものだった。何故なら、これによって、中国の原発産業を飛躍的に拡大できるからだ。全て上手く進めば、中国は、出資の次には、自分達の技術を認めさせ原発を輸出するようになるだろう。

 中国が現在29基の原発を国内に建設中であるという速度からして、中国はある程度の経験を積むだろう。この事は、10月末に中国を訪問した米エネルギー省長官も認めている。彼は、1979年のスリー・マイル島の事故以来初めてとなるサウス・カロライナ州とジョージア州に建設予定の原発4基に対して、中国が部品を提供することになろうと述べた、と論じています。

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 上記記事では、幾つかの具体例を挙げながら、国内では外国企業に厳しく、海外では先端技術分野で積極的に進出する中国のやり方に注意を促しています。そこから、気付いた点を幾つか記します。

(1)欧米で幾つもの契約を受注するほどの電気自動車メーカーが中国で存在するのに、PM2.5に象徴される中国国内の大気汚染は何故軽減されないのでしょうか。海外で受注を獲得する前に、まず国内で試してみるべきではないでしょうか。

(2)約30億円の取引に対して、約1000万円(300分の1)の罰金は、中国側に対して影響力を持ちえないでしょう。

(3)電気自動車、シリコンバレー、原発と、中国の投資対象は、いずれも先端技術分野です。中国への先端技術流出の危険はないのでしょうか。

(4)電気自動車、原発等は、日本、フランスを含め、西側が得意としてきた産業分野です。英米に対して、日本やフランスがより積極的に働きかけることは出来ないでしょうか。

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