2024年11月22日(金)

解体 ロシア外交

2013年12月20日

「EUへのドアは開いている」

 他方、欧米も本問題を真摯に受け止めている。

 EUやEU首脳陣はウクライナに対し、「EUへのドアは開いている」と強調し、統合路線への回帰を求めている。EUの有力者が度々ウクライナを訪問したり、電話会談をしたりして野党指導者や首脳陣と会談してきた。そして、EU側は条件が整えばEUはAAの用意がまだあるとの考えを再三示してきた。

 しかし、12月15日になると、EUのフューレ欧州委員(拡大・欧州近隣国政策担当)がウクライナの対応を批判して「AAの取り組みを保留する」とツイッターで報告した。ヤヌーコビッチおよび側近たちは、再三にわたり、「ウクライナは近くAAに署名する」と述べてきたが、フューレ氏は、政権側の発言と実際の行動はかけ離れていて、署名の実現性は低いとして、このような行動にでたのだ。これはヤヌコービッチ政権への圧力だと見られる。

 また、米国は反抗議行動に対し、警察機動隊を使用したことに強く反発した。そして、米国防省は、ウクライナの政権側から、12月11日にデモ隊に対し軍隊を使わない政策を取っている、という確約を受けたという。

やはりロシアと手を切るのは難しいか

 本稿脱稿(12月15日)時点で、野党側は現在も抗議行動を継続しており、問題の解決は見えない状況だ。

 EU側が事実上支援している一方、米国は「直ちに大統領選挙と議会選挙を実施すべきだとする野党の要求は法的に疑問」だとしてデモ隊に対しても嫌悪感を示している。確かに、選挙で選ばれた指導者を抗議デモや他の超憲法的手段によって崩壊させれば、民主主義に反する政治混乱に陥る可能性も高いのだ。そしてそれは民主主義の基準を重視する欧米の方針にも反するはずである。

 他方、混乱が長期化すれば、今回のデモも欧米の陰謀だと主張するロシアのウクライナへの干渉をより強めることになるだろう。

 本稿では割愛せざるを得ないが、ウクライナは財閥の影響がとても強い国であり、ウクライナの将来の政治像を考える上では、財閥の影響力を加味することが不可欠だ。

 このようにウクライナの今後を占うのは極めて難しい。しかし、短期的にはウクライナはロシアと手を切ることは難しそうだ。状況の平和的解決にはまず対話が必要であるが、その上で、次回の選挙が民主的に行われるよう、国際社会が見守る必要があるだろう。


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