2024年12月7日(土)

解体 ロシア外交

2013年12月20日

 前篇では、ロシア・EU間で揺れ動くウクライナについて、その背景を政治・外交的観点から探った。それでは、ウクライナ人は欧州とロシアのどちらに向いているのだろうか。興味深い社会調査結果がある。2013年11月9~20日に、キエフ国際社会学研究所がウクライナ全地域の18歳以上の国民2011名に対してアンケートを行なった結果が図1である。

図1 ウクライナ国民の東西の志向性(社会調査結果)
(出所)http://www.kiis.com.ua/?lang=ukr&cat=reports&id=204&page=2
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 図1を観ると、歴史的背景もあり、ウクライナの西部・中部は親EU、南部・東部は親ロシアで、また若い人は親EU、高年齢層は親ロシアの傾向が強いことが分かる。

 しかし、この世論も短い間に変化しているようだ。ウクライナの民間世論調査機関「リサーチ・アンド・ブランディング・グループ」は12月10日、同国がEUとロシアが主導する関税同盟のどちらの経済圏に統合されるべきかを問う世論調査結果を発表した。調査は12月4~9日にウクライナ全土の2079人を対象に実施された。

 その結果だが、46%がEUと回答し、関税同盟と回答した36%を10ポイント上回ったのだ。ただし、ウクライナ西部では81%が親EU、東部では61%が関税同盟と回答するなど地域差は依然として顕著だ。ともあれ、これまではウクライナ全体では、親EU派と親ロシア派が拮抗しているとみられてきたが、EUへの親近感が増している現状が浮き彫りになった。


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