2024年8月1日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年8月1日

 軍は有人、無人の航空機を継続的に飛行させる。1週間に亘わたり台湾の船舶に臨検を行う。その後数週間は周辺に相当数の法執行及び軍事プレゼンスが残り、「新たな常態」が築かれる。

 第二のシナリオは全面隔離。第一シナリオを大幅に拡大したもので、台湾全島が対象。10隻以上の海警局、全局の船舶が高雄港の沖に配置され、更に台北港、台中港沖に10数隻、基隆港沖に 9隻、花蓮港や蘇澳港沖に6隻が展開する。

 約40隻の民兵船が接続水域に集結。海軍は5艦艇群を配置。空母山東と攻撃飛行隊が台湾の東南海域に展開する。

 全面隔離では、臨検が一層活発になる。従わない船は拿捕し、中国の港に連行する。不確定性が高まり多くの海運会社は運送を先延ばし、台湾への貿易は減る。作戦は2週間以上続き、多くの CCG や軍のプレゼンスが無期限に残る。

 隔離の目的は、台湾を動揺させ、台湾に対する主権を主張し、海運会社の反応を試し、台湾の貿易を削減し、台湾、米国等の出方を見ることだ。中国は隔離を成功させる能力を持つが、複雑な作戦は大きなリスクを伴い、その成功は台湾、米国等の反応に依存する。

 台湾の降伏が目的であれば、軍事行動が必要となる。全面侵攻を行わずに台湾を強制的に統一するためには、軍事封鎖が選択肢となる。

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大いにあり得るシナリオ

 興味深い報告書である。この報告は、以下の5つを指摘する。

①中国は台湾をの「隔離」をする可能性が高い、隔離には限定性、実現可能性、柔軟性、相手方の対応が難しいといった利点がある、。

②作戦には、限定隔離と全面隔離の二案があり得る、何いずれの場合も海警局、海事安全局という法執行機関が主導し軍と海上民兵が支援する、税関申告強化を発表し台湾に入港する船舶に事前申請を求めて必要に応じ臨検する。、

③限定隔離の作戦は約1週間、標的は高雄港(中国側に位置、台湾最大の港湾ハブ)になる。、

④第二の全面隔離シナリオでは、台湾全土が対象になり、特に高雄、台中、基隆、花蓮、蘇澳の港が標的になる、夫々の港湾沖合に海警局船等が展開し、軍は空母山東等大部隊が台湾を囲むように展開、法執行機関を支援する(期間は2週間以上)。


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