2024年7月28日(日)

BBC News

2024年7月28日

パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織ハマスが運営する保健省は27日、イスラエル軍がガザ地区中心部デイル・アル・バラフに近い学校を攻撃し、パレスチナ人を少なくとも30人殺害し、100人以上を負傷させたと発表した。

イスラエル国防軍(IDF)はソーシャルメディア「テレグラム」で、標的にしたハディジャ学校の中にハマスの司令部があったと説明している。

IDFはさらに、ハマスが学校の敷地を武器庫や攻撃作戦の立案・指揮に使っていたと付け足した。

ハマス運営のガザ保健省によると、現地の映像から、被害者は民間人で、そのほとんどが子供だったことがわかるという。BBCは、負傷者の中に子供たちがいることを示す動画を検証して確認した。

ハマスが運営するガザ民間防衛隊によると、家を失った大勢が学校敷地内に避難していた。ハマスはテレグラムに掲載した声明で、学校が軍事目的で使われていたというイスラエルの言い分は「虚偽」だと反論し、「家を失った人たち、病気やけがをした人たち」が殺害され、そのほとんどは「女性と子供たち」だったと主張した。

現場を目撃したムスタファ・ラファティさんはBBCに対して、爆発の衝撃で自分は倒れたのだと話した。校舎の中に避難しようと走って入ると、「恐ろしい光景」の中で、複数のばらばらになった遺体を目にしたと言う。

「ショックだった」と、ラファティさんは話した。

内容を検証し確認した現場の動画は、がれきに覆われた施設を大勢が走り回る、混乱状況を示している。血まみれの子供2人を両手で抱えて運ぶ男性たちや、お互いを抱きしめる女性たち、負傷した男性を担架で運ぶ集団などが映っている。毛布をかけられた遺体が地面に横たわっているのも見える。

IDFは今回の攻撃の前に、民間人の犠牲を減らすための措置を講じたと主張している。その措置には「適切な砲弾の使用、空撮、追加情報の入手」などが含まれるという。

ガザの保健省によると、南部ハンユニスへの攻撃と今回のデイル・アル・バラフへの攻撃によって、20日以降、ガザでは53人が殺害され、189人が負傷した。

昨年10月7日にハマスがイスラエル南部を攻撃したことで、約1200人が殺害され、251人が人質にとられた。これに対抗するイスラエルのガザ攻撃によって、ハマスの保健省によると、これまでに3万9000人以上のパレスチナ人が殺害されている。

欧州連合(EU)の外交責任者、ジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表はソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」で、デイル・アル・バラフ攻撃を非難し、「すでに厳しい状態にある住民がまたしても、終わりの見えない状態で、別の場所に移動するよう言われたさなか」に攻撃されたと書いた。

そのうえでボレル氏は、「今すぐ停戦が必要だ」と強調した。

米中央情報局(CIA)のビル・バーンズ長官が中心となる停戦協議が28日に、ローマで始まる見通し。カタール、エジプト、イスラエルの代表が出席する予定となっている。

デイル・アル・バラフ攻撃が起きたのと同じ27日朝、IDFは南部ハンユニスの住民に、沿岸部アル・マワシ地区の「調整された人道区域」へ避難するよう指示していた。

IDFは、ハンユニスからイスラエルへ「大規模」なロケット砲攻撃があったという情報や、人道区域のインフラに「ハマスが潜入したという精密な情報」を得たことから、ハンユニスで強行作戦を実施すると予告し、民間人に「この地区に残ることは危険な状態だ」と警告していた。

イスラエル軍はこれに伴い新たに、アル・マワシの人道区域を縮小。同軍は22日の時点ですでにアル・マワシの人道区域を縮小し、住民に避難を命令していた。

22日の避難命令後、現地保健省は少なくとも70人が、ハンユニス周辺のイスラエルによる攻撃で殺害されたと発表している。

パレスチナ自治政府によると27日はさらに、ヨルダン川西岸地区ナブルスの難民キャンプで、イスラエル軍の攻撃によって17歳と24歳の計2人が殺害され、22人が負傷したという。

この情報についてBBCはIDFにコメントを求めている。

(英語記事 Israeli strike on Gaza school killed 30 - health ministry

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cydvl4mzvlro


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