生成AIにとって不可欠なGPU(Graphics Processing Unit=画像処理装置)の設計で世界市場80%のシェアを占めるとされるエヌビディアの株式時価総額が一時、マイクロソフト、アップルを抜いた。検索も「グーグル」ではなく、オープンAIの「チャットGPT」で行う人も増えてきている。
日本でも日々のニュースなどで、AIという言葉を聞かない日はないくらいだが、一体何がすごいのか、ピンと来ない人も少なくないだろう。小誌記者もその一人である。
そんなモヤモヤした気持ちの時、いつも「未来の扉」を開いてくれるのが、サンフランシスコに拠点を置く、ベンチャーキャピタル・スクラムベンチャーズの宮田拓弥氏だ。
Scrum Ventures 創業者兼ジェネラル・パートナー
早稲田大学大学院理工学研究科薄膜材料工学修了。サンフランシスコと東京を拠点に、日米のテックスタートアップへの投資を行うベンチャーキャピタルを経営。これまでに、モビリティー、フィンテック、IoT、VR、コマース、ヘルスケアなど120社を超えるスタートアップに投資を実行している。それ以前は、米国で画像解析ソフトウェア、日本でモバイルサービスのスタートアップを起業し、日米両方でEXITを経験。2009年ミクシィのアライアンス担当役員に就任し、その後 mixi America CEO を務める。個人としてのエンジェル投資を続けた後、2013年スクラムベンチャーズ創業。(WEDGE)
宮田氏にはかつて、個人がタクシー配車サービスを行う「Uber(ウーバー)」が実装された社会の利便性について解説してもらったことがある(『自動運転開発「Uberが独走、Googleには試練」のワケ』)。今回の米国取材でも、取材班はウーバーを何度も利用した。どこの町でも、どんな時間でも、スマホで呼べば必ず来てくれる。
そして、今回は無人の自動運転タクシー「Waymo(ウェイモ)」にも乗車した(『<サンフランシスコでの乗車体験記>透明人間が運転?「Waymo」に乗って分かったこと』)。「百聞は一見に如かず」とはまさにこのことで、乗り心地の良さや狭い路地での見事なハンドル捌きに取材班一同、驚愕した。テクノロジーを積極的に有効活用しようとする米国、「法律の壁」などがネックになり、なかなか議論が前に進まない日本の差はさらに広がっている。
では、日々進化するAIの存在は、人類の未来をどう変えていくのだろうか。宮田氏に聞いた。
また人間に近づいた
「GPT−4o」の衝撃度
ちょうど昨日(5月13日)、オープンAIが「GPT−4o」を発表しました。「o」は「Omni(オムニ:全て)」を意味しています。
つまり、これまでの文字ベースでのやりとりだけではなく、音声や画像ベースでもコミュニケーションのインプットとアウトプットができるというものです。
デモ動画を見て、まず驚かされたのは、その感情表現が人間と遜色ないことです。
グーグルは見た目も反応も完全にコンピューターです。一方、日本の漫画・アニメの主人公『ドラえもん』は、見た目はロボットですが、「人間らしい」性質を持ったロボットです。それに対して、GPT−4oはまるで生身の人間と話しているような感覚であり、人類は『ドラえもん』のようなロボットの誕生に、また一歩近づいたように思います。
歴史をさかのぼると、2007年にスティーブ・ジョブズが「iPhone」を発表して以降、スマートフォンの存在によって、消費の仕方や仕事の進め方など、われわれの生活は大きく変わりました。