司馬遼太郎が『アメリカ素描』(新潮文庫)を読売新聞で連載したのが1985年。当時の為替レートは238円。翌年には168円と円高が進んだ。今回実感させられたのは円の弱さだ。ビジネスホテルでサンドイッチ2切れが14ドル(約2200円)で売っていた。日本のビジネスホテルの方が綺麗で朝食も豪華だが、一部屋2万円以上する。
「The grass is always greener on the other side(隣の芝生は青い)」。これを差し引いても、米国には日本にはない活力がある。サンフランシスコの坂道でのことだ。駐車したトラックの陰から車が飛び出してきた。ぶつかりそうになったが、完全自動運転タクシーのWaymo(ウェイモ)は、難なく避けた。未来を見た瞬間だった。テスラのような電気自動車(EV)は当たり前で、かつて多く見かけたプリウスから取って代わった。
SFから南に行くとシリコンバレーだ。その中心とも言えるのが、スタンフォード大学。多様な人種の学生がいる。そして、その頭脳は「世界選抜」レベルで、学費も高い。