2024年7月6日(土)

都市vs地方 

2024年7月4日

 政府も東京都も何十年も前から「東京を国際金融都市とする」ことを政策目標として掲げている。しかし本気で目指しているのだろうか?

東京は国際金融都市になり得るのか(F3al2/gettyimages)

 そもそも国際金融都市とは何か。都知事選挙の争点にもなっておらず、本気度が疑わしい。あるいは、もう実現してしまったから争点にならないのか。もしかすると、国際金融都市の中身が国民・都民に支持されるようなものではないのか。

具体性に乏しい東京都の「構想」

 東京都のホームページで調べてみると、少し古いが「国際金融都市・東京」構想2.0(2021年)という詳しい文書が出てくる。副題には「サステナブル・リカバリーを実現し、世界をリードする国際金融都市へ」と書いてある。

 さらに読み進めると、東京の「世界第3位の経済規模や約 1900 兆円の個人金融資産の存在、都市の総合力の高さ、政治的安定性、確固たる法の支配」など強みを踏まえ、「日本国内における多様な企業やプロジェクトの存在に基づく膨大な国内資金需要や、国内の資金供給力を吸引力として、国内外の資金需要に世界中の資金を結びつけるインベストメント・チェーンの構築を目指す」と言っている。

 世界の都市はそれぞれに際立った特色があるし、その特色に対する評価は何を重視するかによって異なるため、順位付けには適さないので、「都市の総合力」という表現はわかりにくい。「東京の都市としての際立った特色は何々で、それを生かして」と言うべきだろう。

 ちなみに東京都が「官民連携で国際金融都市を目指して取り組む各種プロモーション活動を推進する」ために設立した東京国際金融機構のホームページでは、東京の強みとして「金融経済の安定性・成長性、新たなビジネスを生み出すフィールド、豊かな文化・歴史と安定した住環境」が掲げられている。

 これらに間違いはないが、一般には世界の都市に対する東京の強みは「安全・清潔・生活利便性」「公共交通機関ネットワークの充実」などが挙げられる。上記「強み」の掲示を読むと練り上げられた表現とは受け取れない。東京都の国際金融都市部門と都市計画部門相互の連携がなされていないことが推察できる。


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