日本には、国際都市とか国際金融都市を目標としている都市は多いが、その国際都市とは何か。
たとえば東京都の「国際都市戦略プロジェクト」推進方針(2022年)では、「国際的な都市間競争が激化する中、東京が持続的な成長を続けていくために、国際競争力を高める施策を重点的に推進する」とする。世界のビジネス拠点を形成し、海外の有力企業、高度人材、投資家等を惹きつけ、国際金融都市をつくり外国企業を誘致するなどの目標を掲げている。
東京都は今から30年以上前の「第二次長期計画」(1986年)で大都市、活気、内外の情報の結節点、職と住の均衡、一層の発展などの要素をあげて「名実ともに世界をリードする魅力ある国際都市」と宣言している。「第三次長期計画」(1990年)では「国際金融・情報等の世界都市機能」を目指すとしている。
一般的に世界の人たちと議論するときにインターナショナル・シティ(国際都市)という言葉は幅広い意味に使われるが、ワールド・シティ(世界都市)という言葉は国際都市より一歩進んで、やや肯定的に世界を代表する都市として使われることが多い。特にこの数十年来の傾向としては、単に経済面だけなく、文化や人々の生活の豊かさを含めて世界的な都市であると認めることが多いように感じる。
日本の自治体運営は国際的なのか
国際都市を目指すのはいいことだと思うが、日本の自治体は目指すと言っているわりには閉鎖的な場合が多い。たとえば新宿にある東京都の庁舎に行っても、海外の人たちが開放的な印象を持つのは展望室くらいだ。
東京でビジネスを展開しようとする外国人や外国企業が都庁に行く時はコンサルや通訳を連れて行くことになる。あるいは東京都が丸の内や赤坂に設置するビジネスコンシェルジュ東京に連絡することになる。
ビジネスコンシェルジュ東京は、起業や事業展開を検討している外国企業向けに、ビジネス面から生活面までトータルに支援する東京都の総合窓口である。ただし使用言語は英語・中国語等に限られている。
ニューヨーク市役所の311ダイヤルは主として生活面の相談だが、265人の職員が所属していて、外国語については委託会社の通訳を介して175カ国語に対応することができる。
そもそも日本では国も自治体も、公務員になるのは参政権の一環であるという考え方から、外国人は基本的に公務員になることはできない。医師、看護師、司書、福祉、電車運転等は日本国籍を要求されないが、実例は多くはない。非常勤職員ならより広い職種で可能だが、それも実例は少ない。