国際化政策の一歩前進を
日本の自治体の「国際化政策」の中身を見ると、外国企業や外国人に対する情報提供など行政サービス向上の域を出ないものが多いようだ。
国際化とか国際都市を目指す時は、その都市が外国人や外国企業に対してインクルーシブ(受け入れに積極的)であるとアピールすることが大切だと思う。
文化や経済の発展、国際平和のためにも市民レベル、自治体レベルの交流による相互理解の促進は大切だ。訪日客の増加を機会にさらなる国際化を促進することも重要だと思う。
東京で活躍する産業や企業を増やし創業を促進することが大切だ。人・もの・情報が国境を越えてかなり自由に往来するようになったグローバル化時代の今日、外国の企業や人の活躍も期待される。
外国のビジネスマンにとって東京など日本の都市はすでに活躍しやすいインフラ条件を一部は備えている。空港の利便性は高い。地下鉄をはじめ公共交通は快適で安全かつ正確な運行をしている。道路混雑についても、ロンドン、ニューヨーク、パリに比べれば少しはマシだ。
東京の利点は何よりも安全性だ。テロの危険が相対的に少ない。犯罪も海外の大都市に比べて少ない。子供が大人の付添なしに地下鉄に乗ってどこかに行くことができる大都市は世界で東京だけである。
地震や水害のリスクがあるがそれは東京に限らない。ニューヨークでも近年は大きなハリケーンが襲う。停電だってロンドンやニューヨークのほうが東京より多い。
東京など日本の大都市が相対的に優れた点もある。それなのになぜ、ロンドン、ニューヨークに比べて東京で活躍する外国人ビジネスマンが少ないのか。それは、税制や各種参入規制など制約を改善するだけでなく、役所の運営、外国人を受け入れる姿勢といった広い視野で大都市の国際的競争力を高めていくこと有効だろう。
東京と言えば、五輪やコロナばかりがクローズアップされるが、問題はそれだけではない。一極集中が今後も加速する中、高齢化と建物の老朽化という危機に直面するだけでなく、格差が広がる東京23区の持続可能性にも黄信号が灯り始めている。「東京問題」は静かに、しかし、確実に深刻化している。打開策はあるのか─―。
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