米国でも連邦や州では職員に米国籍を要求している(二重国籍は可)。ニューヨーク市役所は基礎自治体なので基本的にはグリーンカード(米国永住権)があれば正規に職員になれる。
現に筆者の知人でも10年以上にわたってニューヨーク市役所職員として正規に勤務している人が何人かいる。またニューヨーク市役所では住民向けの重要なお知らせは10カ国語で翻訳される。
ロンドン市では、2004年に発表されたロンドンプラン(ロンドン市の長期計画書)は17カ国語に翻訳された。その中に日本語はなかったので私たちは約350頁のこの本を翻訳した。
ロンドン市は議員の選挙権をビジネス・ボウトと称して外国企業の従業員にも与えていることは知られている。日本人もロンドン市の議員選挙に参加することができるのである。
海外から来る人にとっての日本は
かつてニューヨーク市のブルームバーグ市長は、連邦政府が移民を制限しようとした時、「ニューヨーク市は移民で成り立っている」と主張してドミニカから3歳のときに移民してきた人を移民局長に任命。移民の生活支援等の政策を充実した。
実際、米国のヤフーもグーグルも共に創立者の一人が移民の子だった。海外から来た人が活躍し、多くの雇用を生み出したわけだ。
日本は移民を抑制してきて、そのために国を2分するような対立は今までなかった。日本が米国のような移民社会を目指すことはないと思うが、少なくとも海外のビジネスマンが活躍しやすい環境を整えることは喫緊の課題となっている。ロンドンはひところ衰退したが、外国ビジネスが活躍することを歓迎する政策をとって活気を取り戻した。
移民とまでいかなくとも、そこで働くなどして住んでいる外国人についていうと、23年1月1日現在の東京都の外国人数は約58万1000人であり、総人口約1403万4000人の約4.1%である。ニューヨーク市では、20年の外国人数は人口比36.4%だった。
外国人旅行客についてはどうか。コロナ禍に伴う入国宣言が緩和されて外国人の来日が急激に増えている。円安によって日本の物価が安く感じられるという追い風もあって全国各地の観光産業の期待も大きい。
日本の食をはじめとする独特の文化、風景、清潔・安全、鉄道や道路の整備等に加えて、日本の人々が穏やかで秩序を守るなど、外国人旅行客の中には日本をパラダイスのように感じる人もいるようだ。
旅行客に限らず、留学生や働く人々の増加も期待されている。急速に進むわが国の高齢化・人口減少に加え、資源不足・食糧不足・気候変動対策などもあって、日本の社会にはさらなる国際化が求められている。