2023年1月30日(月)

都市vs地方 

2022年12月26日

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青山 佾 (あおやま・やすし)

明治大学名誉教授

1943年生まれ。67年東京都庁経済局に入庁。高齢福祉部長、計画部長、政策報道室理事を歴任。99~2003年に石原慎太郎知事のもとで副知事。専門は自治体政策、都市政策、危機管理、日本史人物伝。『東京都知事列伝 巨大自治体のトップは、何を創り、壊してきたのか』(2020年、時事通信出版局)、『世界の街角から東京を考える』(2014年、藤原書店)など。

 新型コロナウイルスの感染症法上の分類を危険度が2番目に高い「2類」相当から、季節性インフルエンザと同じ「5類」へと引き下げる議論が政府中心になされている。中国・武漢で最初の感染者が発症したとされる日からすでに3年。分類を2類から引き下げる必要性は、日本での感染拡大初期段階に医療現場から聞こえていた。なぜ、日本は感染対策を転換できないのか。その要因や続けることへの弊害を医療、政治、経済から検証した。
東京都の小池百合子知事(左)から新型コロナウイルス感染症対策に関する要望書を受け取る岸田文雄首相。新型コロナ対策においては、国と都道府県の対立が際立つ(時事)

 新型コロナウイルスの感染症法上の分類を重症急性呼吸器症候群(SARS)などと同じレベルの危険度が2番目に高い「2類」相当から季節性インフルエンザと同じ「5類」へと引き下げるべきか議論されている。論点は、感染者の把握から入院強制や行動制限、医療費の公費負担から一般の人々への外出自粛、事業者への営業時間短縮要請まで多岐にわたっている。

 現在の日本では海外からの渡航者に対する水際作戦が事実上撤廃され、まちには外国人観光客が溢れている。国民の受け取り方としてはかなりインフルエンザ相当に近くなっているが、収束感はまだあまり強くはない。

 2類相当のままだと都道府県知事が外出自粛や休業を要請する権限をもつ。権限を与えられている都道府県知事からも、2類相当を見直し、新しい分類による対応策を求める意見が出ている。

 医療費の公費負担の継続や病床確保などいくつかの対策を講じつつ5類に移行する、あるいは6類ともいうべき新型コロナウイルスという新しい分類を設けるのが現実的だが、そのためには国と都道府県、公共と民間の役割の整理が必須である。

大都市自治体は国と対立することが多い

 コロナ禍が始まってからしばらくの間、東京や大阪、北海道はじめ各都道府県知事がメディアに登場する場面が多かった。それはなぜか。

 日本は国土面積も人口も英国やドイツより大きく、大小の島々から成り立っている。47都道府県で風土、気候、産業経済や人々の気質などがそれぞれ異なる。都道府県によって住民が政治や行政に求めるものも微妙に違っている。

 東京都の場合、小池百合子知事に限らず歴代の知事はしばしば中央政府と対立する。中央政府が47都道府県のバランスを重視するのは当然のことであり、否定されるべきことではない。だがその結果、都民は中央政府の政策に苛立ちを感じることがある。コロナ禍の当初は、まさにそういう状態だった。

 東京都は世界でも稀な巨大自治体である。都知事選挙は有権者1000万人を超え、政党の組み合わせによる組織選挙は通用せず人気投票的な性格をもつ。環境、福祉など各種の社会問題が先駆的に表面化することが多く、全体を俯瞰する政府とは政策のタイミングがずれることが多い。

 東京都は各省の個別の補助金等は受けるが47都道府県で唯一、一般的な財源不足に対して交付される地方交付税の交付を受けていない。財政的には法人事業税や固定資産税など自らの税収を確保することが重要であり、そのため都知事の国に対する主張が強くなる。コロナ関連に限らずふだんからそうなのだ。


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