日本に最も欠けているもの
最近では米国やヨーロッパなど海外投資ファンドによる対日投資の増加意欲も報じられている。台湾の半導体大手TSMCによる半導体工場の熊本県菊陽町進出は大きく報じられたが、そのほか北海道千歳市、宮城県大衡村、群馬県伊勢崎市などでも半導体工場の建設計画が進んでいる。
米国のオフィス空室率が20%から30%と需要が低迷している一方で、日本では東京をはじめとして再開発機運が高まっている。いわゆる札仙広福(札幌・仙台・広島・福岡)など地方の中心都市も、24年の地価公示価格が前年比7.7%と高い上昇率を示すなど活況を呈している。
コロナ禍が一段落して経営者が対面勤務に戻るよう奨励しても米国ではリモートから従業員がなかなか職場に戻らないとか、シリコンバレーを中心にアップルやグーグルなどが巨大本社オフィスを郊外に建設してダウンタウンがオフィス不況に陥ったとか言われるが、日本では早々と従業員がオフィスに戻り、慢性的な人手不足の中で快適な職場環境をつくるためにもオフィスの更新が進んでいる。
多様なプレイヤーが集積する素地や潮流はすでに存在している。重要なのは、「インベストメント・チェーン」という投資の連鎖を引き起こすことができるかということだろう。
日本経済の最大の課題は産業や企業のイノベーションがめざましく進み、スタートアップが澎湃(ほうはい)として展開する状況が生まれないことだろう。国際金融都市という掛け声が大学や研究所も巻き込んでスタートアップに大きく貢献する方向で展開されることが望ましい。