2024年11月23日(土)

JAPANESE, BE AMBITIOUS!米国から親愛なる日本へ

2024年7月20日

 中西部オハイオ州。ラストベルトと呼ばれた地域だが、州都コロンバス郊外で、インテルの新工場の建設が進む。今や「シリコン・ハートランド」に生まれ変わりつつある。米国の国内線に何度も乗ったが、席はいつも満席だった。真夜中に空港に到着してもスマホでウーバーを呼べばすぐに来てくれる。

ニューヨーク、ワシントンDC

 ニューヨーク。コロナ前に比べると、人が戻っていないというが、その活況たるやすごい。普通のレストランでも簡単に1万円を超すが、人でいっぱいだ。地下鉄に乗れば、クレジットカードのタッチ決済で改札を通過できる。

ニューヨーク・ブルックリンの「Dumbo(Down under the Manhattan Bridge Overpass)」地区。ビルの間から見えるマンハッタンブリッジは、ブルックリンのアイコンの一つで多くの観光客が訪れる
SFダウンタウンのホームレス。にぎやかな通りの近くでもこのような光景を目の当たりにした。米国の光と影を見た瞬間だった

 NYからワシントンDCへ向かうアムトラック。車窓から見える米国のインフラも老朽化していることが分かる。活気がある一方で、そこから置いていかれた人がいる。路上生活者、ドラッグ中毒らしい人がそこかしこにいた。

 大学では、ガザ問題に抗議するテントが張られ、大統領選挙は、米国の分断を象徴している。こうした問題に限らず、サービスの質など、日本の方が優れている点もたくさんある。

 だから「米国は駄目」ではなく、その良い部分を学ぶべきだ。「変化を恐れない」「前に進む力」こそ米国の美点だ。

2001年9月11日、同時多発テロの現場となったニューヨーク・マンハッタンの「グラウンド・ゼロ」。2棟の世界貿易センタービルが建っていた場所には、正方形の滝がつくられ、犠牲者の名前が刻まれている。それを見下ろすのが14年に完成した「ワンワールドトレードセンター」。高さ1776フィート(約541メートル)は、独立宣言の年にちなんでいる。
ロサンゼルス・ダウンタウンにある「リトル東京」のホテルの壁に描かれた大谷翔平選手の壁画。周囲はそれほど賑わっている様子はなかった
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Wedge 2024年8月号より
JAPANESE, BE AMBITIOUS! 米国から親愛なる日本へ
JAPANESE, BE AMBITIOUS! 米国から親愛なる日本へ

コロナ禍が明けて以降、米国社会で活躍し、一時帰国した日本人にお会いする機会が増える中、決まって言われることがあった。 それは「アメリカのことは日本の報道だけでは分かりません」、「アメリカで起こっていることを皆さんの目で直接見てください」ということだ。 小誌取材班は今回、5年ぶりに米国横断取材を行い、20人以上の日本人、米国の大学で教鞭を執る研究者らに取材する機会を得た。 大学の研究者の見解に共通していたのは「日本社会、企業、日本人にはそれぞれ強みがあり、それを簡単に捨て去るべきではない」、「米国流がすべてではない」ということであった。 確かに、米国は魅力的な国であり、世界の人々を引き付ける力がある。かつて司馬遼太郎は『アメリカ素描』(新潮文庫)の中で、「諸民族の多様な感覚群がアメリカ国内において幾層もの濾過装置を経て(中略)そこで認められた価値が、そのまま多民族の地球上に普及する」と述べた。多民族国家の中で磨かれたものは、多くの市民権を得て、世界中に広まるということだ――


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