米大統領選挙の共和党候補のドナルド・トランプ前大統領は12日、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領との新たな討論会は行わない考えを示した。
両候補は10日にABCがフィラデルフィアで開いた討論会で意見を戦わせた。
トランプ候補は12日、自らのソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に長文を投稿。「敗者がまず口にするのが『再戦しよう』という言葉だ」とした。
そして、「世論調査は、私が討論で、民主党の急進左派候補のカマラ・ハリス同志に勝ったことを明確に示している。(中略)そして、彼女はすぐさま2回目の討論会を求めた」と続けた。
トランプ候補はこの日、アリゾナ州で集会を開き、舞台裏で地元放送局テレムンド・アリゾナのインタビューに答えた。その中で同候補は、ハリス候補との2回目の討論会について、「必要性を感じない」、「すべてについて討論したと思っている。向こうだって望んでないだろう」と話した。
トランプ候補の決定は、陣営が発していたメッセージと矛盾するように見える。トランプ候補の上級顧問ジェイソン・ミラー氏は11日朝のCNNの番組で、同候補が「3回の討論会をやるとすでに言っている」と述べていた。
ハリス候補は必要性強調
一方、ハリス候補は12日、トランプ候補の発言を受けて、両候補は有権者のために再び討論する責務があると、ノースカロライナ州での選挙集会で主張。「(選挙で問われていることは)これ以上ないほど重要」だからだとした。
ハリス候補の陣営は、10日の最初の討論会の直後に、2回目の討論会を要求。12日も同様に要求を続けた。
ハリス陣営は、有権者たちが「投票日に直面する選択を目にした。カマラ・ハリスと前進するか、トランプと後退するかの選択だ」と主張。「ハリス副大統領は2回目の討論会の準備ができている。ドナルド・トランプはどうなのか?」と問いかけた。
1回目は両者が勝利宣言
10日に約1時間半にわたって開かれた討論会では、両者とも終了後、勝利を宣言した。
ハリス候補はこの日の討論で、トランプ候補の集会の規模や、連邦議会襲撃事件での振る舞いについて同候補を攻撃し、守勢に追い込んだ。
一方、トランプ候補とその支持者らは、ABCの司会2人がハリス候補に肩入れし、公平ではなかったと非難した。
トランプ候補は翌朝のFOXニュースの番組で、討論会は「仕組まれていた」と主張。それでも「素晴らしい夜」を過ごしたとし、新たな討論会に参加する気は「あまりない」と述べた。
討論会の直後に実施されたいくつかの世論調査では、ハリス候補のほうが良い出来栄えだったとの結果が示された。
両陣営は、今月25日にNBCニュースが開く討論会への参加について協議していると報道されていた。NBCはトランプ候補の今回の発言についてコメントを出していない。
経済対策についてどう有権者に訴えるかをハリス陣営に助言している団体「プログレッシブ・チェンジ・キャンペーン委員会」の共同設立者アダム・グリーン氏は、トランプ候補の今回の決定は、ハリス陣営にとって「二重の恵み」だとBBCに説明。
「有権者は、カマラ・ハリスが大統領らしく見えたという印象、そして彼女は自分たちの味方だという印象を持ち続けることになる」、「新たな討論会は、ハリスを助ける可能性があるが、現在の輝きを損なう恐れもある」と、その理由を述べた。
(英語記事 Trump rules out another presidential debate against Harris)