ピーター・ホスキンス、ビジネス記者
フェイスブックやインスタグラムを運営する米メタは16日、ロシアの国営メディア数社を、自社のソーシャルメディアで禁止すると発表した。それらロシアメディアがあざむくような手法を使って、影響力のある活動をしたり、発覚を逃れたりしているとしている。
メタは、「慎重に検討した結果、ロシア国営メディアに対する現在の対策を拡大した。ロシヤ・セゴドニヤ、RT、およびその他の関連団体は、外国による干渉活動を理由にこのたび、私たちのアプリで世界的に禁止される」とした。
RTのアナウンサーのユーナン・オニール氏は、同放送局と「ロシア全体が、このチャンネルなどに対してここ何日かで一斉に浴びせられている非難について否定する」と述べた。
禁止は数日内に発効する見通し。
在米ロシア大使館と、通信社スプートニクを保有するロシヤ・セゴドニヤは、BBCのコメントの求めにすぐには応じなかった。
ロシアの国営メディアは、西側諸国の政治に影響を与えようとしているとされ、監視が強まっている。
ソーシャルメディア大手のメタは、フェイスブックに加え、インスタグラム、ワッツアップ、スレッドを運営している。
今回の動きは、世界最大のソーシャルメディア企業が、ロシア国営メディア企業に対する姿勢を一段と厳しくしたことを示している。
メタは2年前、ロシア政府がコントロールするメディアの拡散を制限するため、限定的な対策を実施。自社プラットフォームにおける広告を停止し、コンテンツのリーチを制限するなどした。
ウクライナでの戦争が始まると、メタは他のソーシャルメディア・プラットフォームと同様、欧州連合(EU)、イギリス、ウクライナからの要請に応じ、それらの国などでロシア国営メディアの一部を遮断した。
米当局は今月、ロシア国営放送局RTについて、テネシー州の企業に1000万ドル(約14億円)を支払い、「ロシア政府のメッセージを隠したコンテンツを作成し、アメリカの視聴者に配信した」と非難した。
また、移民、ジェンダー、経済などの問題で右派の主張を広めるために使われることが多い動画は、RTの従業員2人が秘密裏に「編集、投稿、管理」していたとした。
アントニー・ブリンケン米国務長官は13日、RTに対する新たな制裁を発表。RTを「事実上、ロシア情報機関の一部門」だと非難した。
さらに、RTはロシアの支援を受けたメディアの一部であり、ひそかに「アメリカの民主主義を弱体化」させようとしていると主張。ロシア政府が「サイバー作戦の能力をもち、ロシアの情報機関とつながりのある一団をRTの中に組み入れている」と付け加えた。
RTはブリンケン氏の発言をライブ配信し、「アメリカの最新の陰謀論」だと反発した。