2024年10月2日(水)

経済の常識 VS 政策の非常識

2024年10月2日

 成長投資については、具体的に詰め切れず、ほとんどの候補者が、成長をもたらす投資をすると言っていた。具体的でなければ定義的に正しい主張だから、論点は深まらない。安全を確保して原発を進めるというのも当たり前の話だから、具体的にならなければ話はそこで終わりだ。

議論が深まらなかった総裁選、その原因は?

 本欄「<検証>自民党総裁選候補の9人の経済政策、日本経済を救う尖ったアイデアは洗練されるのか」(24年9月13日)で、筆者は、多くの候補者が出ることで尖った政策が出るのは良いことだと書いたが、9人もいると尖った政策が十分に検討されない。1次リーグで3人に減らし、さらに論争を続ければ良かったのではないかとも思った。

 しかし、考えてみれば、国会で野党を含めて年中議論しているのに、なぜ論点がはっきりしないのだろうか。通常は、国会で修正することを考えていないので、与党は、野党の指摘に、「なるほど」と言ってはいけないし、野党も相手を困らせる質問で立ち往生させることしか考えていない。

 そこで閣僚は、役人の作ったメモを読むことになる。議論を紛糾させないのは役人の責任になって、閣僚の責任ではなくなってくる。これでは議論は深まらず、閣僚の能力も向上しない。

 野党がなぜあるかを考えてみると、与党の欠陥を指摘すること(スキャンダル攻撃もそうだ)、ダメな与党に代わる選択肢を国民に与えることだ。与党内での議論も大事だが、本来、与野党の議論こそがもっと大事なはずだ。

 石破新首相の就任早々の解散表明は、そうした機会を失わせることにもなる。今後の野党やメディアの追及にも期待をしていきたい。

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