2024年10月21日(月)

BBC News

2024年10月21日

レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラを標的とした攻撃を続けるイスラエルは20日、レバノン国内の24地域の住民に対し、同日夜にかけて攻撃を実施すると警告した。対象地域には、首都ベイルートの14地域が含まれる。

イスラエル国防軍(IDF)は警告した攻撃について、ヒズボラを支援する銀行や金融インフラを標的としたものだと説明した。

ベイルートで取材するBBC特派員は、同市南部ダヒエ地区が8度の空爆を受けたと報告した。同地区はヒズボラの支配地域。

レバノン国営メディアも、同国東部での空爆を報じた。死傷者が出たかどうかはわかっていない。

こうした中、ヒズボラはイスラエル国内の軍事基地を標的として、新たにロケット弾を発射したと発表した。

IDF報道官のダニエル・ハガリ少将は20日夕の声明で、「ヒズボラのテロ活動の資金源となっている拠点の近くにいる者は、これらの場所から直ちに離れなければならない」と警告した。

「我々はこれから数時間以内にいくつかの標的を攻撃し、夜通しでさらなる標的を攻撃する」

「我々は今後数日間で、テロの隠れみのとして機能する民間機関や団体、NGOを利用して、イランがどのようにヒズボラのテロ活動に資金提供しているかを明らかにしていく」と、ハガリ報道官は付け加えた。

レバノン国営通信社NNAは、同国東部ベカー渓谷(高原)にある銀行アルカード・アルハッサン協会が攻撃を受けたと報じた。

イスラエルはこの銀行がヒズボラに資金を提供していると非難している。

ヒズボラの金融拠点への攻撃に先立ち、IDFはこの24時間にイスラエル北部に向けて数十発の攻撃があったと発表した。

また、イスラエルの戦闘機が「ヒズボラの情報本部の司令部と、ベイルートの地下にある武器工場に対し、情報に基づいた攻撃」を行ったとした。

IDFは「民間人が犠牲になる可能性を低く」するため、措置を取ったとしている。

ヒズボラやレバノン政府関係者はイスラエルが民間人を標的にしていると非難しているが、イスラエル側はこれを否定している。

攻撃に先立ち、 レバノンに展開する国連平和維持軍の国連レバノン暫定軍(UNIFIL)は20日、イスラエル国境近くのレバノン・マルワヒンにある国連拠点の監視塔と境界フェンスを、IDFが意図的に破壊したと非難した。UNIFILの拠点ではこの数週間、同様の出来事が続いている。

UNIFILは声明で、「国連拠点を侵害し、国連資産を損傷する行為は、国際法と国連安全保障理事会決議1701に対する、甚だしい違反であると、我々は改めて指摘する」と非難した。国連安保理決議1701は、2006年のイスラエルとヒズボラの停戦時に採択され、「ヒズボラによるあらゆる攻撃の即時停止、および、イスラエルによるあらゆる攻撃的軍事作戦の即時停止に基づく戦闘行為の全面停止を求める」という内容のもの。

レバノン南部ナバティエではこの日、レバノンの軍用車両1台がイスラエルの空爆を受け、兵士3人が殺害されたと、レバノン軍が発表した。

イスラエルはUNIFIL拠点とナバティエでの事案についてコメントしていない。

レバノン軍は歴史的にイスラエルとヒズボラの国境を挟んだ交戦には関与してこなかった。しかし、9月に戦闘が激化して以降、イスラエル軍の攻撃で多数のレバノン兵が死亡している。

レバノンを拠点とする強力な武装組織ヒズボラは、パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスへの連帯を示すため、ハマスと戦うイスラエルの陣地を攻撃しているのだと説明している。

ヒズボラとハマスはどちらも、イランの支援を受けている。

レバノン当局は、この1年間で2400人以上が国内で殺害されたと推定している。イスラエルによると、この1年で、イスラエル北部と自分たちが占領するゴラン高原で59人が殺害されたという。

(英語記事 Blasts heard in Lebanon as Israel vows to hit Hezbollah's financial sites

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c1wnr17y9lgo


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