2024年10月21日(月)

BBC News

2024年10月21日

パレスチナ・ガザ地区北部ベイトラヒア市で19日、イスラエル軍の空爆があり、少なくとも87人が死亡、40人以上が負傷した。イスラム組織ハマスが運営するガザ保健省が20日に発表した。

ハマス運営のガザ保健省は20日に声明で、イスラエルによるベイトラヒア空爆の死者数を87人に上方修正した。ハマスは19日遅くに、この空爆で73人が死亡したと発表していた。

ガザ保健省によると、住宅地が攻撃され、今も多数の人ががれきの下に閉じ込められている。

イスラエルは死傷者の報告を確認していると述べつつ、保健省がこれより先に「73人」と公表した死傷者数について、「誇張」されていると主張した。

イスラエル軍はここ数週間、ガザ北部へ激しい砲撃を重ねている。ハマス戦闘員が同地域で再編するのを、阻止するためだとしている。

国連のトル・ウェネスランド特別調整官(中東和平担当)は「ガザの悪夢は激化している」と警告し、この戦争を「今すぐ止めなければならない」と述べた。また、「ガザで安全な場所はどこにもない」とした。

ウェネスランド氏は声明で、民間人への継続的な攻撃を非難。「この戦争を終わらせ、ハマスに拘束されている人質を解放し、パレスチナ人の強制退去をやめさせなければならない。人道援助は妨げられることなく届けられなければならない」と強調した。

ガザ保健省によると、救急隊は空爆現場に到達できなかったという。

イスラエル国防軍(IDF)はこの空爆について、「ハマスのテロ標的」に対する「精密」攻撃だと説明。IDFはBBCに対し、「民間人への危害を回避するためにあらゆる手を尽くしている」と述べた。

ベイトラヒアにあるカマル・アドワン病院の看護部長イード・サッバ医師は、イスラエルの攻撃のため市内で複数の建物が全壊し、「4~5棟以上の住居区画が(中略)壊滅した」と述べた。

サッバ医師によると、アブ・ジディアン・ラウンドアバウトとアル・カッサム・モスクの間にある住居エリア全体が標的にされたという。

また、数十人が死亡して多くの負傷者が出たとし、「病院にたどり着いた人もいるが、がれきの下に取り残されている人もいる」と付け加えた。

同医師は、「生活が正常に戻るように、(中略)手遅れになる前に、私たちの国が掃滅させられる前に」ガザ北部の複数病院に対する「包囲」をやめるよう訴えた。

複数の画像では、カマル・アドワン病院での負傷者の治療の様子がうかがえる。画像が同病院で撮影されたものだと、BBCは確認している。

イスラエルは、ガザ北部ジャバリアで20日、陸軍幹部1人が死亡したと認めた。

IDF報道官のダニエル・ハガリ少将は、アフサン・ダクサ大佐が戦車を離れた後に爆発物による直接攻撃を受けて死亡したと述べた。

この攻撃ではほかに、3人の将校が負傷した。うち1人は重傷だという。

イスラエルは10月上旬、ガザ北部での軍事攻撃を再開した。ハマスが同地域で再編するのを阻止するためだとしている。

IDFは特に、難民キャンプがある人口密集地ジャバリアを包囲し、砲撃を続けている。同地域では18日遅くの攻撃で少なくとも33人の死亡が報告されている。

人道支援団体はこの数週間、ガザ北部地域にはほとんど援助が届いていないと警告している。イスラエル独自の統計によると、ガザへの援助物資の輸送は9月の同時期と比較すると、全体的に激減している。

国連の人道問題担当トップのジョイス・ムスヤ氏は19日、ガザ北部のパレスチナ人は「言葉で表現できないほどの恐怖」に耐えているとし、こうした「残虐行為」を止めるよう求めた。

イスラエルは、ガザへの人道援助の流入を妨げてはいないと繰り返し主張している。しかし、アメリカは13日付の書簡でイスラエルに対し、人道援助へのアクセスを30日以内に改善させなければ、アメリカは対イスラエル軍事支援の一部を打ち切る可能性があると伝えた

ハマス運営のガザ保健省によると、昨年10月の開戦以降、ガザでは少なくとも4万2603人が死亡、9万9795人が負傷した。

この戦争は、ハマスが昨年10月7日にイスラエル南部を奇襲して約1200人を殺害、251人を人質に取り、イスラエルが報復に出たことで始まった。イスラエルはハマス壊滅を誓い、ガザへの地上攻撃を開始した。

イスラエルは20日、レバノンの首都ベイルート南郊にも空爆を行った。イスラエルはレバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラを標的とした攻撃を継続している。

IDFは声明で、「ヒズボラの情報本部の司令部と、ベイルートの地下にある武器工場に対し、情報に基づいた攻撃」を行ったとした。

「民間人が犠牲になる可能性を低く」するために対象地域の「住民に事前に警告を発する」などいつくかの措置を取ったと、IDFは付け加えた。

また、レバノンからイスラエル北部に向けて約160発のロケット弾が発射されたと報告した。

レバノン南部ナバティエではこの日、レバノンの軍用車両1台がイスラエルの空爆を受け、兵士3人が殺害されたと、レバノン軍が発表した。

イスラエルはこれについてコメントしていない。

レバノン軍はこれまで、イスラエルとヒズボラの国境を挟んだ交戦には関与してこなかった。しかし、9月に戦闘が激化して以降、イスラエル軍の攻撃で多数のレバノン兵が死亡している。

レバノンを拠点とする強力な武装組織ヒズボラは、パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスへの連帯を示すため、ハマスと戦うイスラエルの陣地を攻撃しているのだと説明している。

ヒズボラとハマスはどちらも、イランの支援を受けている。

(英語記事 At least 87 killed in strike on northern Gaza, officials say, as UN warns 'nowhere is safe'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c99ved1lrlyo


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