ジェイムズ・フィッツジェラルド BBCニュース
アメリカ大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ前大統領は16日、スペイン語放送ユニヴィジョン主催のタウンホール・イベントに出演した中で、自分の支持者たちが連邦議会を襲撃した2021年1月6日のことを、「愛の日」と呼んだ。
フロリダ州マイアミで開かれたイベントでトランプ候補は、2021年1月6日に大勢が首都ワシントンに集まったのは、「選挙が不正選挙だと思っていたから」だと述べた。
トランプ候補は当日、連邦議会に近いホワイトハウスの外で集会を開いた。この集会の会場から多くの支持者が議事堂へ行進し、議員たちがジョー・バイデン氏の当選を認定している最中に、暴徒と化して議事堂を襲撃した。
トランプ候補は2020年の選挙に大規模な不正があったせいで自分は負けたのだと、虚偽の主張を何年も続けている。アメリカ世論は今も、議会襲撃をめぐって分断している。
ユニヴィジョンのイベントでは、2020年大統領選後の出来事を問題視する男性の支持を、どうしたら取り戻せるのか、トランプ候補が問いただされるやりとりがあった。
「問題のあることは、何もなかった」と、トランプ候補はこれに答えた。
「あそこに銃はなかった。我々は銃を持っていなかった。他の連中は銃を持っていたが、我々は持っていなかった」とトランプ候補は、議事堂に向かった人たちに自分を含めて「we(我々)」と発言した。
「私が言う『我々』とは(議事堂へ)歩いて行った人たちのことだ。全体のごくごく少数で、誰も見ていないし、誰も、誰も見せない。でもあれは、愛の日だった」と、トランプ候補は続けた。
さらに、議会襲撃の直前に自分がホワイトハウスの外で行った演説について、「何十万人もの人々」に向かって話していたのだとした上で、「あの人たちは、私のために来たのではなく、選挙のために来た。選挙が不正選挙だと思ったから来たんだ」と述べた。
トランプ候補は、2020年の選挙結果を覆そうとした複数の罪で起訴されている。罪状の詳細は2日、司法省の特別検察官が提出した書類で公表された。
ジャック・スミス特別検察官は裁判所に提出した申立書の中で、2020年選挙の結果がどうなろうとトランプ候補が勝利を宣言するつもりで計画していたことや、投票日に先駆けて、投票結果を争う準備を固めていたことを、詳細に説明している。
スミス検察官はまた申立書で、トランプ候補が2021年1月6日にワシントンに集まった支持者たちと一緒になってバイデン氏の勝利を否定しようとした際、それに協力しないマイク・ペンス副大統領(当時)と決裂したことにも触れている。
トランプ候補の当時の行動を問題視する有権者は、ユニヴィジョンのイベントで、トランプ政権の副大統領さえ今回の選挙でトランプ候補を支持していないのに、なぜ自分がトランプ候補を支持すべきなのか問いただした。
これに対してトランプ候補は、2021年1月6日にペンス氏が自分の要求に応じなかったことに言及し、「副大統領は……彼のしたことを、私は支持しない。彼のしたことに、私はまったく賛成しなかった」と述べた。
トランプ候補が今年11月5日の投票日より前に、前回選挙を覆そうとした罪状で被告人として法廷に立つことはない。本人は不正を否定し、2021年の出来事に関しては自分には訴追を免除される大統領特権があると主張している。
ユニヴィジョンのイベント中、トランプ候補はハイチ移民がオハイオ州スプリングフィールドでペットを食べたという根拠のない主張を、引き続き堅持し、自分は「報道されていたことを言っただけだ」と主張した。
トランプ陣営と民主党候補カマラ・ハリス副大統領の陣営は共に、投票日に向けてマスコミ出演を大々的に繰り広げている。
ハリス候補は16日、自分に敵対的な保守派FOXニュースに初出演し、司会者とたびたび衝突した。
(英語記事 Trump calls 6 January 'day of love' when asked about Capitol riot)