2024年10月18日(金)

BBC News

2024年10月18日

米大統領選の民主党候補カマラ・ハリス副大統領が16日、保守派FOXニュースの敵対的なインタビューに初めて応じた。

ハリス候補は、トランスジェンダーの受刑者、不法移民、ジョー・バイデン大統領の認知機能面での適性などについて、司会者とたびたび衝突した。

投票日まで3週間を切るなか、ハリス候補はメディアへの露出を増やしており、同候補を声高に批判する人たちが登場するFOXにも乗り込んだ。

ライバルの共和党候補ドナルド・トランプ前大統領は、FOXのインタビューに何度も応じている。16日には、聴衆が全員女性の対話形式のイベントで、同局に出演した。

世論調査では、全体として女性有権者は、トランプ候補に懐疑的だと示されている。トランプ候補はこの日、経済や移民問題などおなじみの問題については質問によどみなく答えたが、不妊治療についての質問ではうまく返答できなかった。

ハリス候補はFOXのインタビューで、司会者ブレット・ベアー氏と25分間向き合った。両者はしばしば互いの言葉を遮り、ハリス候補が「あなたが取り上げた問題に答えている最中なのだから、最後まで発言させてほしい」と言う場面もあった。

以下、この日のインタビューの注目ポイント4点を紹介する。

(1)謝罪要求

インタビューは移民問題から始まった。司会者は、メキシコ国境を越えてアメリカに不法入国し、その後に拘束を解かれた人物に娘(12)を殺害された母親の、気持ちのこもった映像を流した。

ハリス候補は、不法移民に殺害されたアメリカ国民の家族に謝罪すべきだと思うかと問われると、「彼女のことをとても気の毒に思う」、「悲劇的な事件だ」と答えた。

司会者は、ハリス候補が2019年に、越境行為を犯罪ではなくすべきだと主張したことについても質問した。これは、ハリス候補が手のひらを返したと非難されている問題の一つだ。

ハリス候補は、「私は越境行為の非犯罪化を支持しないし、副大統領として、そうしたことはしていない。そして、大統領としてもしない」と述べた。

さらに、トランプ候補が今年、議会下院の共和党議員らを説得し、国境管理を強化する法案を否決させたと非難。「彼は問題を解決するのではなく、問題を選挙利用することを選んだ」とした。

(2)受刑者の性別適合手術は

ハリス候補は、受刑者の性別適合手術への公費投入について質問された。同候補は以前、これを支持すると発言している。

司会者が、大統領として公費投入を進めるかと問うと、ハリス候補は「法律に従う」と答えた。

詳しい説明を求められると、トランプ候補の大統領在任中にすでに受刑者にそうした手術が提供されていたと答えた。だが実際には、トランプ政権の期間、連邦刑務所でトランスジェンダーの手術が行われたことはなかった。

米連邦刑務所局はBBCヴェリファイ(検証チーム)に、連邦刑務所ではこれまでに、受刑者2人が性別適合手術を受けたと説明した。1人目は2022年で、2人目は2023年だったという。

ハリス候補は2019年に民主党の大統領候補指名を争った際、公民権団体からのアンケートで、刑務所や移民施設に収容されているトランスジェンダーを自認する人が「必要なすべての外科的治療を含む、性別移行に伴う治療」を受けられるよう、大統領の権限を行使するかと聞かれ、そうすると回答した。

ハリス陣営はこれについて、今回の大統領選で「本人が提案していることでも、問題にしていることでもない」としている。

(3)バイデン氏との距離

ハリス候補は先週のインタビューで、ジョー・バイデン大統領と自身による現政権がしてきたことについて、変えたいと思うことは「ひとつもない」と発言した。FOXはこの時の映像を流した。

するとハリス候補は、「はっきり言っておくが、私の政権はジョー・バイデン政権の延長にはならない」と主張。これまでよりも強く、バイデン氏と距離を置く姿勢を示した。ただ、詳しい説明はしなかった。

司会者が、トランプ候補を支持し続ける有権者は「ばか」なのか、あるいは「認識が誤っている」のか質問すると、ハリス候補は「アメリカ国民について、私はそんなことを決して言わない」と答えた。

司会者がさらに、副大統領を3年以上も務めているのに、なぜ公約のひとつが「ページをめくる」なのかと聞くと、ハリス候補はトランプ候補批判に話を転じた。

(4)バイデン氏の認知機能は

ハリス候補は、バイデン氏の認知機能について質問されると、これをはぐらかした。

司会者が、バイデン氏の認知能力が「低下しているように見える」のに最初に気づいたのはいつかと尋ねると、ハリス候補は「私は大統領執務室からシチュエーション・ルーム(危機管理指令室)まで、いろいろな場面でジョー・バイデンを見てきたが、アメリカ国民を代表して非常に重要な決断をするたえに必要な、判断力と経験を備えている。そして、(バイデン氏は)まさにそうしてきた」と答えた。

さらに追及されると、ハリス候補は、「投票用紙にジョー・バイデンの名前はない。でもドナルド・トランプのはある」と述べた。

(英語記事 Four takeaways from Harris's combative first Fox interview

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cvglxd7x5k1o


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