米国家安全保障会議(NSC)は27日、中国で拘束されていたアメリカ人3人が解放されたと発表した。バイデン政権と中国政府が受刑者交換で合意した。
NSCは声明で、アメリカ人のマーク・スウィダン、カイ・リ、ジョン・リョン各氏がアメリカに向かっていると明らかにした。
「まもなく帰国し、数年ぶりについに家族と再会することになる」とNSCは述べた。
受刑者交換は数カ月前から交渉されていたものとみられる。アメリカで拘束されている中国人が少なくとも1人、解放された。
アメリカ政府の交渉関係者によると、バイデン米大統領は今月初め、ペルーで開かれたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の場で、中国の習近平国家主席と会談した際、中国で不当に拘束されているアメリカ人の問題を直接提起したという。ホワイトハウスのジェイク・サリヴァン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も8月に訪中した際、不当に拘束されているアメリカ人の帰国を強く求めた。
「この政権の努力、および中国との外交のおかげで、中国で不当に拘束されていたアメリカ人が全員、帰国した」とNSC報道官は述べた。
この交換については、政治ニュースサイト「ポリティコ」が最初に報じた。
マーク・スウィダン氏(48)は2012年から拘束され、麻薬密輸の罪で死刑判決を受けていた。スウィダン氏は容疑を否認。国務省は不当な拘束だとして分類し、健康状態が心配されると主張していた。
カイ・リ氏(60)は、2016年9月からスパイ罪を問われて中国で拘束されていたが、支援者たちは、罪状は捏造(ねつぞう)されたものだと主張していた。
ジョン・リョン氏(78)は、アメリカで複数の親中団体の代表だった。2021年に逮捕され、2年後にスパイ罪で終身刑を宣告された。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、複数のアメリカ政府関係者は、2年前にスパイ罪で有罪判決を受け、禁錮20年を言い渡された中国人の徐延軍(シュ・ヤンジュン)受刑者(42)の釈放について、政府内で議論していたと話した。2018年にベルギーで逮捕された徐受刑者について、司法省は、中国の情報将校がアメリカに引き渡されてアメリカの裁判所で裁かれたのは初めてだと説明していた。
27日朝の時点で、徐氏は米連邦刑務所局(BOP)の記録システム上、「BOPの拘束下にない」と記載されていた。
受刑者交換を実現した今回の交渉は、任期満了を目前にしたバイデン大統領にとって、外交上の成果となった。
アメリカが中国で不当に拘束されているとみなす市民については、今年9月にもデイヴィッド・リン牧師が解放されている。リン牧師は2006年から中国の刑務所で拘束されていた。
バイデン政権は4年間で、ロシア、ヴェネズエラ、イランなど複数の国から70人以上のアメリカ人の解放を確保した。
アメリカ政府は27日、中国本土への渡航勧告レベルを「レベル2:通常より注意するように」に引き下げた。
(英語記事 Three Americans released in US-China prisoner exchange)