2024年12月7日(土)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2024年11月28日

 日本時間11月22日朝、2024年のメジャーリーグMVPの発表が米テレビ番組の中で行われ、ナショナルリーグでは大谷翔平が満票で受賞となった。過去にアメリカンリーグで2度MVPに選ばれているので3度目の受賞となる。しかも3回とも満票での受賞であり、今回の受賞で両リーグで受賞したことになるなど異例ずくめの受賞であった。

ワールドシリーズを制し、MVPも受賞した大谷翔平。今後、どのような記録と記憶を与えてくれるか( Alex Slitz /gettyimages)

 指名打者がMVPを受賞するのは史上初である点も注目された。指名打者は守備につかないため、指名打者のMVP受賞はありえないという声もあり、実際、ボストン・レッドソックスに所属していたデヴィッド・オルティーズのようなその背番号がチームの永久欠番となるような活躍をした選手を含めて、指名打者でありながらMVPを受賞した選手はこれまで一人もいなかった。それ故、大谷はMVPを獲得するにしても満票ではないのではという見方も強かったが、そのような声をはねのけての満票での受賞であった。

米国の日本人イメージを変えた

 その受賞の一部始終は、日本のマスメディアでも大きく取り上げられた。日本のテレビの多くは、大谷翔平のMVP受賞を讃え、これまでの来歴を振り返ると共に、出身地での反応や真美子夫人の立ち振る舞い、米国での特別グッズの販売の様子などを一通り報じたが、総じてある種これまでの焼き直しのようなものが目立っていた。それほどまでに大谷に関してこれまで日本では既に事細かに報じられてきたのである。

 振り返って米国で日本人がこれほど受け入れられた例はあっただろうか。メジャーリーグの世界に限っても、野茂英雄しかりイチローしかり松井秀喜しかり、これまで多くの日本人選手が活躍してきたが、大谷ほど受け入れられた選手はいなかった。

 一昔前までの米国における日本人のイメージはお世辞にもよいと言えないものであった。その代表は、オードリー・ヘップバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」において重要な脇役として登場する、背が低くて出っ歯で眼鏡をかけ、ハンサムとは程遠い間の抜けた行動をするユニオシである。

 その後、日本人の様々な分野での活躍によって徐々にそのイメージは改善されてきた。ただそれは、力強く大きいといったものではなく、ノーベル賞受賞者を輩出するくらい頭がよく、凄いカメラや素晴らしい自動車を作るといったものである。

 チームで敵と戦う最近のフィクションでいうと、チームの中に不可欠なテックガイ、すなわち、数学に強くコンピュータなどに詳しいメンバーといった位置づけになるだろう。中心になってリーダーシップを発揮したり、筋骨隆々で力でねじ伏せるといった感じではなく、小柄で痩せているか太り気味で、多くの場合近視だが、テクノロジーに対する知見でチームを救うのである。


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