2024年6月25日(火)

中国メディアは何を報じているか

2014年2月21日

 汚職高官の代表格として薄熙来(元重慶市党委員会書記)が挙げられるが、彼が逮捕されてから、海外で購入したイギリスやフランスの豪邸が暴露され、その豪邸の贅沢さに多くの人が度肝を抜かれた。

 カナダに限らず、オーストラリアやアメリカに不動産を持つとされる高官もいるし、現役の指導者、引退した指導者たちやその家族も海外での不動産所有の噂が絶えない。中国富豪の海外移住と高官の汚職は切っても切り離せない表裏一体の関係なのだ。

 良くも悪くも中国の急成長は、移民先でも経済に大きな影響を及ぼすまでになっているのは記事のとおりである。カナダでは不動産価格の高騰を引き起こし、バンクーバーやトロント等の都市で住宅価格は過熱気味でバブルの様相さえ呈している。

新たな移民先として注目を浴びるカリブ海諸国

 しかし、記事で紹介したようにカナダは投資移民制度の廃止を検討し始め、現在申請済み部分を棚上げにしている。カナダやアメリカなど欧米の移民の門戸は閉じられつつあるようだ。こうした中で代わりに一躍注目を浴びるようになったのがカリブ海諸国だ。昨年、習近平国家主席が訪問したカリブ海の小国トリニダード・トバゴもそのうちの一つだ。

 移民先のカリブ海の国として注目を集めるのがセントクリストファー・ネイビスである。2012年に中国からの移民はたった20人だったがこの数年で数倍になったという。人口5万2000人超しかない小国が移民の選択先になったのは、国籍取得の条件が緩く、海外収入の課税もなく、ここからステップアップで別の国に移民も可能だからだという。ある弁護士によれば多くの企業家の中には中国政府の制限をかいくぐり、香港で上場し資金集めをするという目的を持つものもいるという。

 このようなビジネス目的でどこの国でもいいから利便性を追求して移民する様は日本人にはなじみにくい。利便性を追求し、ある国の永住権取得を目指し、駄目なら別の国というような刹那的生き方はどうも受け入れ難い。

 もし「中国の夢」実現を本気で目指すなら、そのような刹那的に移住するのではなく、国に止まって政治の改革推進を後押しし、環境保全を進めて大気汚染を改善し、貧富の格差を是正して多くの人が発展の恩恵を享受できるようにすべきなのだ。富裕層が国から逃げ出すような社会が理想的である訳がない。

 毛沢東の功績を賛美したばかりの習近平政権だが、富を手にした「紅二代」たちが大挙して海外に移民しようとする様を、もし命を懸けて国を作った「革命世代」が見たらどう思うだろうか。「中国の夢」、「中華民族の偉大な復興」と大言壮語に浮かれず、自分の生まれ育った土地、国で地道に持続可能な発展を目指すことこそが真の「偉大な復興」であろう。


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