2024年11月22日(金)

復活のキーワード

2014年3月26日

 20年に留学生を倍増するという目標を達成したとしても、その効果がすぐに出るわけではないが、時間とともに民間交流の絆は着実に太くなるはずだ。数年単位で日本に住む外国人留学生は、日本贔屓の核になるのは間違いない。だが、ファンを増やすのは留学生ばかりではない。

 日本を短期間に訪れる訪日外国人数は昨年、初めて1000万人を超えた。円安によって旅行費用が安くなり、東南アジア諸国などからの観光客が急増していることが背景にある。日本を訪れた旅行者が、日本ファンになり、リピーターになってくれれば、まだまだ訪日外国人数は増えそうだ。

 尖閣問題以来大幅に減っていた中国からの旅行者も底打ちしつつある。韓国からの旅行者も伸びており、年間2000万人になる日もそう遠くない。日本のファンが増えれば、外交もスムーズになるだろう。

 もちろん、ビジネス関係を太くすることも重要だ。スイスとの150年にわたる親交を思い返せば明らかだろう。

幕末、1862(文久2)年に欧州に初めて派遣された「文久遣欧使節」。約40人の使節団には、福澤諭吉もいた(提供・時事)

 明治維新の後、岩倉具視を特命全権大使とする日本政府の使節団が米欧諸国を歴訪した。その最後にスイスを訪れるのだが、その際、かつて遣日使節団長だったアンベール氏は日本使節を歓待する。随員の久米邦武がまとめた『米欧回覧実記』(岩波文庫所収)はそのことに触れ、こう書いている。

 「ソノ友愛ノ摯ナル、礼敬ノ厚キ、情誼掬スベシ」

 異国の地で触れた友情に感激したのである。外交の基本はそこにある。

◆WEDGE2014年3月号より









 

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