世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月4日

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 イラクの内戦が激化したことにより、ブッシュ政権では多くの関係者が、米国がもっと積極的にイラクに介入してマリキを強く支援していれば、結果は違っていたかもしれない、と議論するようになった。この議論は、中東における対立の本質を見誤っているだけではなく、米国が対立する勢力の一方を支援したことで事態を大幅に悪化させたことを見逃している。米国の介入は、中東の混乱に油を注ぐだけである、と論じています。

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 確かに、中東の宗派対立は激化しています。

 エジプトでは、国民の中におけるムスリム同胞団の地位がナセル、サダトの時代と同じ程度まで小さくなって、一応収まった感があります。しかし、シリアでは、シーア派のアラウィ派政権であるアサド政権に対して、イラン、ヒズボラといずれもシーア派系が肩入れして、宗教戦争の様相を呈しています。また、イラクでは、サダム・フセイン時代以来、というよりもアッバース朝以来のスンニ派支配が崩れたため、支配階級が逆転して激しい宗派対立となっています。それは、ブッシュ政権によるアメリカの介入の結果であることは明らかですが、他方、オバマ政権が過早に米軍を引き揚げたためということも出来ます。

 こうした状況を鋭く指摘したこのザカリアの論説は流石ですが、過去の米国の政策の結果と現状の分析であって、解決策あるいは解決可能なシナリオを何ら提示しているわけではありません。ただ、今更米国が介入しても反発を招くだけで、事態の解決には寄与しないと指摘している点は、おそらくその通りなのでしょう。ということは、事態を成行きのままにまかせるしかない、という情勢判断になります。

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