解体 ロシア外交

2014年3月6日

 EUの中でも、ドイツはパイプライン問題はじめ、様々な権益からロシアには強く出ませんし、フランスも2011年に締結したミストラル級強襲揚陸艦2隻をロシアに売却する契約の中止は検討していない、としています。一方、チェコがプラハの春の再現だと厳しく批判するなど、東欧やバルト三国などの旧社会主義国はロシアに対してもっと強く出るべきだと主張しています。そして、アメリカはウクライナに近いだけでなく、反ロ的であるポーランドやバルト三国との軍事協力を強化する方針を発表しました。このように、西側諸国の中でこそ、東西分裂が起きてしまっています。

 また、ここにきて欧米がウクライナに対して金銭的な援助をしようとしていることにも注目です。

 以前の拙稿でも触れましたが、ウクライナがEUに加盟しなかったのは、EUとIMFが提示した金融支援の条件が厳しすぎたためです。今もデフォルト寸前で、とにかく支援を求めるウクライナは、もうロシアに頼るしかありませんでした。ロシアから援助される状況で、EUに加盟できるわけありません。しかし、ここにきて米国とIMFや、EUもウクライナに対する支援を表明しています。それだけ、「ロシア化のドミノ」を恐れているのでしょう。それを示すように、アメリカはウクライナの隣国であるモルドバにも金融支援を表明しています。つまりモルドバをしっかり固め、ウクライナのような状況が拡散しないように必死になっているわけです。

 ただし、暫定政権が発足したものの国全体を把握できていない状態で、金融支援が今のウクライナの窮状をどこまで救えるかは分かりません。

――これまでも国際社会ではロシアと足並みを揃えることが多かった中国も、今回は曖昧な態度をとっています。

廣瀬:中国はやはりウイグルやチベットなどの少数民族問題を抱えていますので、過去にはコソボの分離独立にも反対しました。しかし、グルジア紛争で「パンドラの箱」を開けてしまったロシアほど開き直ることはできません。グルジアのときも、中国は、グルジアの少数民族に対する非人道的な対応は批判しましたが、南オセチア・アブハジアの国家承認はしませんでした。ウクライナ問題でも、ロシアに対して賛成も批判もせず、曖昧な態度をとっています。

――北方領土問題を抱える日本は、どう対応すべきでしょうか。

廣瀬:安倍首相はプーチン大統領と信頼関係を構築しようとしていました。一方でもちろん日米同盟もありますし、G7のメンバーでもあるため、当然西側諸国と足並みを揃える必要があります。

 安倍政権になってから、日本は米ロ両方とある程度良い関係が築けていたと思いますので、ここは仲介役になるぐらいの存在感を見せてほしいと思います。EUと比べても日本は中立的な立場をとれますので、そこをうまくいかして米ロ両方の信頼を得ることを目指してほしいです。


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