2024年12月26日(木)

田部康喜のTV読本

2014年3月19日

 この大渋滞がもたらした影響と、それから逃れる方法について、番組はビッグデータを分析しながら考えていく。

 あの時、九段会館の天井が地震によって落ち、死傷者が出た。救急車は大渋滞に巻き込まれていつものようには現場に到着できなかった。そして、九段会館にいた人々が協力して、落ちた天井板の下からけが人を助け出そうとしている映像が映し出される。

 ビッグデータから、このふたつの出来事から大きな教訓とこれからの災害に対する対応が引き出される。

 大渋滞をしりめに、タクシーがわき道をうまく潜り抜けながら遠距離までふだんのように走行しているデータが現れる。こうした渋滞がほとんどない道路を、ビッグデータによって時々刻々、救急隊に提供できるようになったら、災害時の救出活動はさらに多くの人命を救う。九段会館に向かった救急隊員は、このデータを見せられると、ぜひ使いたいと語るのだった。

携帯の位置情報から、共助力を推定

 人々が共助によって、救出活動をする。阪神淡路大震災の時、倒壊した建物から救出された人の8割はこうした共助による、と番組は紹介する。

 被害が起きた地域に、その瞬間に壮年や若者が多ければ、共助の力は強くなる。携帯電話の位置情報によって、町内会のような小さな地域ごとにこの共助力を推定できる。

 東京都世田谷区の住宅街の分析によって、住民たちは自分たちが、共助力があると考えていた古い商店がある地域が、実は昼間は壮年や若者が少なくなって、震災の際の救出力が弱いことを知る。

 町内会の役員たちは、一軒一軒を訪ねながら、震災の際の共助を訴えて歩くのだった。その手元には、共助力の強弱を色分けした地図が表示されたタブレット型端末があった。

 防災と減災の方法は、東日本大震災の教訓によって大きく変わろうとしている。


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