上海での会合で、米国の著名な学者の一人は、「習はタイタニックを救うことが出来ることを示したがっている」と言い、習の権力強化を、ゴルバチョフのグラスノスチ、ひいてはソビエト帝国の崩壊を引き起こした1980年代初めの、アンドロポフによるソビエト共産党改革の試みに譬えた。
習は、共産党を破壊することなく、党改革をすることが可能であると考えている。会議で、中国の専門家は、党は党員にソ連と同じ誤りを繰り返さないよう、ソ連崩壊を記録した長々しいビデオを見るよう指導している、と言った。習にとって厄介な問題は、緩めることと引き締めることを同時にしなければならない、ということである、と述べています。
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論説は、イグネイシャスが2月に、Shanghai Institutes for International Studies とGerman Marshall Fund が毎年共催しているStockholm China Forum に参加し、そこで得た感触を基に、習近平の権力基盤が強固なものになっている、と分析したものです。この分析には全く賛成です。
習近平は、毛沢東のような、端倪すべからざる人物であるように思われます。「中国の夢」などと中国の古典に無い表現を使ってみたり、「新型の大国間関係」というような歴史的ビジョンのありそうなことを言ったり、ネクタイ無しで泊まり込みの議論をしたりするなど、従来の共産党指導者に無い表現方法を用いつつ、内では統制強化し、外には国益を一歩も譲らない強硬路線を推進しています。
昨年の全人代が終わって、権力闘争は一段落したと思われたにもかかわらず、その後も厳しい権力闘争が続いているらしいのも、習近平は、単に、共産党のトップの指導体制における権力闘争に勝っただけで良しとせず、さらに独裁権力を固めるための闘争を続けているものと推測されます。習近平にとっては、今後とも独裁体制の強化が主要関心事であり、党内民主化はもとより、抜本的な経済改革などは期待し得べくもない、と考えるべきでしょう。
日本に対する強硬姿勢も、「寧左勿右(強硬をもって良しとする)」の姿勢が権力闘争にとって有利である、ということが背景の一つにあるのは間違いないでしょう。
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