2024年11月21日(木)

うつ病蔓延時代への処方箋

2014年4月17日

 それでも就職後すぐに退職してしまう、中にはうつ症状に陥ってしまう卒業生もいます。在校生だけでなく卒業生も面談の対象です。再就職への道を一緒になって探ることも私の任務。いい方向に導けるよう取り組んでいます。

 基本にしているのは就職のテクニックを教えることではなく、自身が持っている力を引き出すこと。この学生はどんな長所があって、どういう環境で力を発揮出来るかヒアリングを通して感じ取り、適正を探り、よりよい就職ができるよう促していくことです。面接の受け答えなどは、もちろん大事ですが、それは二の次でいい。

 それよりも、人としての基本となること、社会人として基礎の築き方が重要です。社会全体の一般的な傾向なのかもしれませんが、近年の若年層には社会人になる基礎力が欠けているように思えてなりません。だからこそ社会人基礎力が身につくカリキュラムやプロジェクトを大学が備える必要があると思います。それを重視したのが当学部で活用できた学生は、いい就活ができています。

夢を抱かせ将来の不安を打ち消す

―― ゆとり教育が悪いとは一概には言い切れませんが、競うことを学ばないで、就職時期になって競い、社会に出て競争することになる。そのギャップが離職につながるように思えます。また、会社で何かあると自分が悪くない、人の責任に転嫁する他責型の「新型うつ」にもなるのではないですか。

庄司:学生たちと話をしていると、競争をしてこなかった教育というよりも、壁を乗り越えてきた経験の無さが、社会で耐えられない、組織の中に入り順応できないことなどの要因としてあるのではと思います。何か問題が発生した時に自分自身を支えられるモノがない。

 将来に不安を感じる、夢がないという学生は、就職にも希望が見出せず、なかなか行動に移せず、打たれ弱いことを面談で感じます。これも壁を乗り越えてこなかったから。就職するにあたりどういうキャリアを積んでいきたいのか、明確にできないのです。ここにも大きな問題があると思います。

 壁とまでいえなくても、誰でも1つや2つは熱中したこと、頑張ったこと、やり切ったことがあるはず。それを想い出させていくのです。時には高校生、中学生時代にまで遡って、昔の強みを取り戻すことをします。少しずつ自信を取り戻せば、アルバイトでこんな経験をした、大学で自分はこれを学んだ、などアピールポイントが出てきます。何もしてこなかったという自分が感じる弱みを、やればできるという強さに変えていくことが必要です。


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