戦時中、初代ハチ公像の原型は疎開させる途中の東京駅で空襲に遭い失われ、照自身も1945(昭和20)年に亡くなったため、初代ハチ公像に関する資料は「わずかに」写真が残っているだけだった。今回ひな形が見つかったことについて、同館学芸員の松井圭太さんは「この資料のみからしか(初代ハチ公像の)詳細が分からないので極めて重要な資料」と話す。
同館では昨年、ハチの生誕90年を記念した「ハチ公展」開催に向け資料の収集や調査を実施。その中で、戦前に一般販売を予定していた「テラコッタのハチ公像」の製作に向け照自身が制作したと思われるひな形が見つかり、展覧会内で展示・公開した。その後、同ひな形の調査を進めたところ、「子どものころ父のアトリエで見た」という士さんの証言などから、そのひな形がテラコッタの販売を目的としたものではなく、初代ハチ公像の制作に向けたひな形だったことが判明したという。
ひな形の高さは約24センチ。台座には「忠犬ハチ公」の文字や照のサインも記されている。垂れている左耳などは現在の像と同じだが、初代は「日本犬の迫力をリアルに表現」しているという。像を管理するのは杉並区在住の谷内真理子さんで、照の知人である母親の白川セキさんが所持していた。
現在開催中の新収蔵資料展では同像設置80年目を記念し、会場内の3分の1ほどのスペースを使ってハチに関する資料を展示。ひな形の写真や、初公開となる昭和8~9年ごろに撮影された、渋谷駅前にいるハチとその周りに集まる子どもたちを収めた写真のほか、照の資料や、ハチのことを新聞に投稿した日本犬保存会の斎藤弘吉の資料なども紹介している。
開館時間は11時~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(祝日の場合は翌火曜が休み)。入館料は、一般=100円、小中学生=50円ほか。新収蔵資料展は6月1日まで。
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テラコッタとは素焼きの焼き物のこと。このニュースはYahoo!トピックスに取り上げらたこともあり話題となりました。初代は2代目よりも「日本犬の迫力をリアルに表現」とのことですが、ちょっとひな形だけではわかりづらいかもしれません。いつか初代のひな形を使ったハチ公も見てみたいですね。
ハチ公が2匹いる!?
続々誕生する「新・ハチ公」
昔から多くの人に愛されてきたハチ公。それは現代でも同じで、年始の大雪のときにはハチ公横にもう1匹のハチ公が誕生したと話題になりました。「渋谷・ハチ公像横に「雪だるまハチ公」-ネットでも話題に」(シブヤ経済新聞/2014/2/15/http://www.shibukei.com/headline/9930/)ほかにも四季によってさまざまなハチ公が登場しています。バレンタインにはこんなハチ公の姿が。