2024年7月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月20日

 4月9日付け米National Interest誌のウェブで、マイク・モチヅキ米ジョージワシントン大学准教授及びマイケル・オハンロン米ブルッキングス研究所上席研究員が連名で論説を寄せ、靖国神社からのA級戦犯の分祀と遊就館の閉鎖及び日中韓での歴史対話を推奨しています。

 すなわち、オバマが近く訪問するアジアは緊張している。主として中国により問題がもたらされているが、米国の同盟国である日本の安倍政権も、靖国参拝により問題を起こしている。オバマは多分、今後靖国参拝を控えるように安倍に求めるかもしれないが、それよりも、むしろ靖国を変革することに集中すべきである。

 歴史の傷は東アジアでは深い。村山談話の繰り返しでは、和解に不十分である。安倍総理の昨年12月の靖国参拝が示すように、日本の政治指導者も他国同様、戦没者に敬意を払う義務を感じている。靖国にはA級戦犯14名だけではなく、何百万の戦没者が祀られている。

 もし安倍総理やその後継者が靖国参拝をしたいのなら、靖国を変革すべきである。靖国の敷地には、軍事博物館があるが、これは日本の侵略、戦争責任を無視している。これを閉鎖する他、A級戦犯を対象から外す創造的な方策を考えるべきである。これは1985年に中曽根総理からも提案された。昭和天皇も1978年のA級戦犯合祀後、靖国に参拝していない。日本の愛国者が戦没者に敬意を示す最善の道は、天皇が再び靖国を参拝し得るように、靖国を変革することである。

 歴史的傷は靖国に限られない。慰安婦、日本海呼称、日本人についての中韓の教育などの問題がある。

 1990年代以降、日韓中の学者は公的、私的に、歴史についての対話や研究をしてきたが、これを拡大・深化すべきである。他国について、どう教えるかが最も問題である。日中韓の学者は相互非難を避け、共有の歴史に向けて作業すべきである。日本はアジア歴史資料センターの活動を拡大し、意見交換や対話を支援すべきである。歴史的に正確な見解を、日中韓の国民がお互いに学べるようにするのが最大の目的である。


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