2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月23日

 膨大な非在来型炭化水素資源(シェールガス、シェールオイル、オイルサンド等)が採掘可能になりつつあることを受け、新たな地政学的な展開が始まることは間違いないでしょう。こうした中、北極海とインド洋には、特に注目すべきでしょう。

 北極海では、欧州と日本・極東航路が注目されています。2012年12月には九州電力向けに初のLNG船が北極海航路を使用しました。しかし、北極海航路はまた、欧州とシェールガスの輸出ターミナル計画が進むカナダ・米国西海岸との間でも最短距離であります。

 一方、インド洋が新たな地政学の拠点であるのは、日本同様に中国もエネルギー輸入を東シナ海からインド洋のシーレーンに依存しているからですが、中国の台頭により、インド洋の海洋秩序は形成途上にあります。インド洋は季節風で荒れることも多く、消息不明のマレーシア航空機370便の捜査・捜索活動難航を受け、改めて注目されるのは、日本の救難救助機US-2です。US-2は、競合する外国製飛行艇の倍以上の能力があり、インド洋の大半をカバーすることができます。US-2のインドへの輸出が実現すれば、飛行艇救難支援基地として、インド洋に浮かびインドネシアに程近い、アンダマン・ニコバル諸島(インド連邦直轄領)のポートブレアが重要な位置を占めることになるでしょう。日本の最近の防衛装備品移転三原則は、こういう展開も可能にするものであり、大きな地政学的意義を持っています。

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